ユトレヒトU19とアヤックスU19の試合から見る、状況を見極め戦術を変更することの大事さ

戦術

毎週末はサッカーづくし。それはここオランダに住むことで得られる最も大きなメリットではないかと、個人的に思っています。

自分のクラブはもちろん、どのアマチュアクラブに行っても人だらけです。それこそ4歳くらいからベテランの年代まで、幅広く人々がサッカーをプレーして楽しむ、もしくは家族の応援、友人の応援をして盛り上がるこの国の一つの文化の形だと言えます。まさに、サッカー好きにはたまらない国です。

そんなわたしも、今日は帯同するFCユトレヒトU12のアウェイの試合に行ってきました。いくつか怪我関連でトラブルがあったものの、試合は4-1で勝利。勝ち点差1で追いかけている首位チームも同様に勝利し、残念ながらその差は埋まらないままです。

 

【ユトレヒトU19対アヤックスU19の激突】

自分のチームの試合が終わってクラブに戻ると、フィジオルームではU19の選手が試合前のストレッチングを行っていました。彼はチームのキャプテンで、モロッコU19代表のキャプテンも務め、すでにトップチームの契約もしており、ユトレヒトの次の世代を担う選手と言われています。私がしゃべるといつもそのオランダ語をニヤニヤしながら聞いているのですが(きっと馬鹿にしてる!笑)、とても人懐こい良いヤツです。

そんな彼を激励したのち、試合の観戦です。対戦相手はアヤックスU19。どのカテゴリでもそうですが、アヤックスとの試合というのはユトレヒトにとって特別なものです。同じユトレヒト市内にはエールディビジ所属チームは他にありませんから、もっとも近い場所に位置するアヤックスとの試合は、勝手にダービーのような雰囲気になります。当然のように、クラブハウス横のスタンドにはユースの試合とは思えないほどの数の観客がいました。

 

【裏へのパワー勝負vs後ろからのビルドアップ】

互いの戦い方は対照的で、ユトレヒトが3トップに足の速い黒人系の選手を並べて、彼らの1対1の勝負強さを主体としたプレーを選択したのに対し、アヤックスはキーパーから丁寧につなぐザ・オランダスタイルのサッカーで対抗しました。

ピッチの状況があまり良くないこと、アヤックスは前後が分断されてセカンドボールが拾えないことなどもあって、前半は2-0でユトレヒトがリードして折り返します。後半、アヤックスは前線からのプレスとピッチをコンパクトに保ち、さらにロングボール主体に切り替えてきました。そこからアヤックスは2点を返し、結局2-2のドローに。得意な戦術を捨て、それでも高いクオリティを示したアヤックスのポテンシャルの高さがうかがえました。逆にユトレヒトも後半、相手ゴールに迫るシーンは何度もあったのですが、ゴール前の密集したスペースで高いボールコントロールの技術が発揮できず、チャンスをものにできませんでした。最後の部分でのボール扱いの技術はアヤックスのほうが上だったので、前半から戦術を切り替えられていたら、また違った結果になっていたと思います。

 

【コンディションの不利な状況でも】

この試合、アヤックスにとっては前回の試合からのリカバリー期間が短いこともあって、コンディションの面ではユトレヒトが有利のはずでした。実際、ピッチ上での運動量はユトレヒトが上回りましたし、前半でのアヤックスの前後の連携の悪さ、間延びしてしまった原因はそこにあったのではと感じています。それでも後半立て直し、2点を返したのは戦術を変えても高いレベルでプレーできるという彼らのサッカーの上手さがあったと思います。ロングボール主体になったと言ってもやみくもに前にボールを蹴るだけでなく、1対1の局面の選手を狙ってロングパスを出したり、中盤の選手が前線に向かって走る、人数をかけるタイミングがとても効果的だったように思います。

得意な形があることはもちろん大事ですが、それが発揮できない状況は必ず出てきます。それはコンディションの問題だったり、相手の戦術の問題だったりもします。実際、最近行われたヨーロッパリーグでのアヤックス対レッドブル・ザルツブルグでの試合は1-3でアヤックスが敗れました。相手が前線から激しいプレスをかけてきたことで、得意とするビルドアップを封じられた所から打開策を見いだせなかったことが大きな要因だったと思います。

結局のところ、今回のアヤックスU19のように戦術を相手や状況に合わせて切り替える判断ができ、さらにそれを高いクオリティで実行できることが、チームとしての強さの一端を担っているのと言えるのではないでしょうか。

 

Yasu


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