真夜中のサッカー談義 in オランダ

会議

先日、オランダ在住のサッカーに生きることを心に決めたとある4人の侍によって、深夜のサッカー談義が行われました。私以外の3人についてここでは多くを語ることはできませんが、同席することに引け目を感じてしまうほどに高い志と燃えたぎる情熱とユーモアのセンスを持ち合わせる(?)、スペシャルな3人です。

こんな4人が集まればサッカーの話にならないわけがない、ということで深く熱く語り合ったわけです。

テーマは「ジュニア年代の指導」について。一晩では足りない非常に壮大なテーマです。

 

【コーチの役割 どこまで教えるのか?】

ジュニア年代ではいったいどこまで教えるべきなのか、優先すべきことは何なのか?おそらくコーチの数だけ答えがあるはずです。

先日、オランダサッカー協会の指導者講習を受けてオランダサッカーのジュニア指導のベースに触れました。このタイミングは、なかなかホットでした。

気付きの連続!オランダサッカー協会の指導者講習を受けてきました| フットボールノコトバ。

この熱い夜では、各々が思うジュニア年代の指導内容がテーマとなりました。一人がジュニア年代でポジショニングなどコートでの立ち方を教えてサッカーとは?を教えていくべきだとしたのに対し、もう一人はいろいろ教えて指導すると、そこに厳しさがあればサッカーを嫌いになるのでは?それよりもジュニア年代は楽しくサッカーをさせることで、とにかくサッカーを好きにすれば勝手に試行錯誤して伸びていく、それが自然ではないのか?という考えを持っていてほぼ正反対でした。

大事なのはもちろん、子ども達が楽しんでサッカーをするということ。これは育成目的でも普及目的でも日本でもオランダでも揺るがない部分だと思います。ではどうやって楽しんでサッカーをやってもらうのか、という点がポイントになってくるのでしょう。

楽しんでサッカーをする。確かにコートとボールがあれば子ども達は勝手にサッカーを始めて疲れるまでサッカーをやって、それで楽しかった経験がサッカーを好きにさせていくのだと思います。では、コーチの余計な介入は必要ないのでしょうか?

 

【大事なのは子ども達一人ひとりの観察とさじ加減】

私としては、それは必要だと思います。例えば、練習時間に試合だけさせているのももちろん楽しくていいのですが、そこでおそらく起こりうるのが、固定のメンバーだけが多くボールに触って、ボールに触れない子は楽しさを感じにくいのではないかということです。もちろん、楽しんでボールを追いかけている子はそのままでも問題ないのかもしれませんが、そうでない子、明らかに楽しんでいるように見えない子にはコーチからの働きかけが必要です。どうすればサッカーが楽しくなるか、具体的にはサッカーの中で成功体験をどのように掴ませてあげるかが大事なのかなと思います。

ここで、子供たちがサッカーを楽しいと感じる場面はいつなのか、自分なりに考えてみました。

  • 試合に勝つ
  • ゴールを決める
  • 相手からボールを奪う

 

このあたりでしょうか。最終的にスコアで試合に勝つことはもちろん、楽しさを感じるきっかけになるでしょう。そしてゴールを決めることもボールを奪うことも、攻撃と守備でそれぞれ起こる「勝つ」という現象として捉えています。攻撃では目の前の相手に勝つ、DFやGKに勝つとゴールが決まる、守備ではボールを持っている相手に勝つとボールが奪える。低学年なら特に連携など何もありませんから、勝ち負けの内容が非常にシンプルです。

小学生にありがちなのが、身体が大きな子、脳や筋肉系の発育が少し早い子というのは、やはり周りと比べて頭2つくらい抜け出てきます。そういう子はどんな場面でも大抵勝てますから、楽しくてしょうがないと思います。逆に発育が少し遅れている子は、この時期に負け続けると、サッカーを好きになれないかもしれません。力任せにやっても、どうしても勝てない相手はいますから。ではそういった力関係をどう調整するかは指導者に委ねられていると思います。例えば、チーム分けの時にバランスを考えて、戦力が拮抗するようにするのとかは、基本ですよね。

私が考えるに、低学年の子たちにはどうやったらサッカーは簡単になるか、という話をすることは身体能力を上回る一つの方法となると思います(子ども達への表現の仕方は若干変えていますが)。具体的に私が指導していることは、ボールを持ったらすぐにゴールへ向かう。相手のいない方向にドリブルを仕掛ける、といった内容です。ボールを持った時にゴールと全然関係ない方向に行ったり、敵が密集しているところに突っ込んでいっても、上手くいかないことは明らかです。それは、子供たちに教えてあげるべきだということになります。最も勝利につながると思われるシンプルな方法を教えるということですね。

 

【ゲーム形式が一番楽しい。でもそれだけでの指導も難しい】

ここまでの話を振り返ってみると、それじゃあ一日の練習の中で、ゲーム形式だけやっておけばいいんじゃない?となると思います。そのほかの練習フォームは必要ないと。ここも意見が分かれるところだと思います。実際、練習時間ではゲームしかしないというチームもあると思いますし、サッカーはサッカーの中でしか上手くならない、という考え方から見ても、非常にシンプルで理に適っていると思います。

それでも、ゲーム形式以外にシチュエーション別やボールハンドリングにフォーカスを当てた練習をするべきだと私は考えています。それはなぜか?そのほうが子ども一人当たりのボールに触る回数、時間が増えるからです。ゲームの中で教えるのもいいですが、そうすると、大人の試合でもボールを持っている時間は2分弱だといわれるように、ボールを触っていない時間のほうが圧倒的に短く、効率的であるとはいえないからです。それに、ボールに触れるだけサッカーが楽しいと感じてくれる子には、もうそれだけで十分だと思うのです。また、ボールに触る時間が増えることで上達も早まります。特に低学年にとってはこのほうがいいような気がします。

もちろん、その一つ一つのハンドリングにフォーカスをあてたトレーニングが「楽しい」ものであることが条件になってきますので、そこは指導者の腕の見せ所だと思います。

 

また、練習頻度も考慮に入れなければならないと思います。私のみているチームの練習は週一回のため、どうしてもサッカーに触れる機会が制限されます。その部分をカバーするには効率の良い練習を追求し続けることが求められると思います。一回の練習の中に楽しさと上手くなるための要素を盛り込むという、改めて言うと当たり前の内容になってしまいますが、心掛けが必要なのかなと思います。

 

【理論や考え方も大事。でももっと大事なのは目の前の選手】

ここまで勢いで書いてきましたが、結局何が言いたいかっていうと、子ども達にどの程度の情報量を提供するかは、目の前の子がどの程度サッカーを楽しめているのかを見極めてから決めるべきだということです。教えすぎも、教えなさすぎも、どちらもあまり良くないっていう、教科書通りの答えに辿り着いてしまいました。でも、これも頭では分かっていても実行するのはそう容易いことではないと思います。そしてこれは、どの場面でも共通して言える「ステレオタイプじゃだめですよ~」っていうことに行き着くんだと思います。コーチに限らず、メディカルスタッフもその都度頭をフル回転させて、その目の前の現象にとって何が一番ベストな選択なのかを考えなければいけない、ということですね。

畑違いの内容(コーチング)がテーマの熱い夜でしたが、そこにも自分の本職(メディカルスタッフ)としての活動に対する気づきがありました。やっぱりこういう話も大事なんだなって思います。自分の専門じゃないから、って敬遠するんじゃなくて、そこから何かヒントはないかって気持ちで臨むと、案外いろんなものが見えてくるもんなんですね。

 

 

Yasu


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