疲労の正体って?その原因から考えるアプローチの仕方

休憩

以前のクーリングダウンの記事で、乳酸について書かせていただきました。乳酸が直接悪行を働いているのではない、という話でしたね。乳酸は心筋や遅筋のエネルギー源になるため、体内ではポジティブな役割があるのです。

月曜からの日常を快適に過ごすために!クーリングダウンの4つのポイント| フットボールノコトバ。

なぜ乳酸が疲労物質ではないのかという理由は他にもあります。実は体内の乳酸値というのは運動後30分程で運動前の値に戻るというのです。しかし、乳酸値が下がっても、運動した晩や次の日に疲労は残っていますよね。つまり、乳酸が直接悪さをしてるとは言えないのではないか、というのが最近の研究結果です。

【疲労の原因がついに明らかに!?疲労物質FFの発見】

じゃあ結局、どうして人は運動すると疲れるのか?普段の疲労の原因は一体何なんだ?という疑問が当然沸くことでしょう。

私も気になったのでちょっと調べてみました。

それについて最近有力だと言われている説が「活性酸素」と「疲労物質FF」です。

活性酸素とは、体内で酸素が消費された際に出る燃えかすのようなもので、これが細胞を傷つけるという悪行を働きます。これでは細胞、例えば筋肉の細胞である筋繊維は上手く働きません。

さらに、その傷ついた細胞からは老廃物が発生します。その老廃物からさらに元凶であると考えられる、あるタンパク質が発生するというのです。このタンパク質はFF(Fatigue Factor)と呼ばれています。まだまだ研究が進められているところですが、このFFが私たちの身体を疲れさせているようです。

厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業)分担研究報告書

この疲労物質FFについて現在わかっていることは、睡眠によって除去されるということです。睡眠の際に「疲労回復物質FR」というものが分泌されるためです。特別な疲労除去トレーニングや、栄養ドリンク、疲れた時は肉!という発想ではなく、きちんと睡眠時間を確保できるように生活スタイルを調節することが、まさにコンディショニングだということですね。

【そもそもの原因はコレ?活性酸素】

次に、活性酸素についてはどうでしょう?どうやら活性酸素を早めに除去すれば、この疲労物質FFが発生することも抑えられるのではないか、というのが予想されますが。。。

どうやったら活性酸素を抑える、もしく除去できるでしょうか、考えてみましょう。

そもそも活性酸素は日常生活でも発生しています。先に述べたように体内で酸素が消費された際に発生するものだからです。そしてこれが激しい運動となると、大量に発生するようです。逆に、ジョギングなどのゆっくりとした運動では、それほど大量には発生しないようです。

この活性酸素を除去するには、体内にある「抗酸化酵素」と、「抗酸化物質」が必要です。酵素とは、ある特定の物質に対して決まった反応を起こすタンパク質でできた物質のことで、抗酸化物質はビタミンやポリフェノールなどの栄養素を指します。

定期的に運動する習慣のある方は、体内での抗酸化酵素が多く生成されるようになっているようですが、それでも活性酸素にさらされるのは好ましくありませんから、積極的に除去できるように働きかけたいものです。

そこで、抗酸化物質の積極的な摂取が必要だと考えられます。

抗酸化物質といわれる栄養素の代表的なものとそれらが含まれる食品は、果物類から摂取できるビタミンCが有名ですね。その他、どの食品が効果が高いかを知るには、東北大学の研究によって作られた抗酸化力ピラミッドが参考になりそうです。

抗酸化力 | バナナ大学

 昔から、柑橘系のジュースは疲労回復に良いと言われていましたが、実はこういう背景があったということですね。注目すべきは頂点のバナナでしょう。特に調理も必要なく、しかも安価で簡単に手に入る食品に効果があるとは、有難い話です。

ではここで、サッカーを例に実際の行動について考えてみましょう。

サッカーは高頻度にダッシュを繰り返すスポーツですから、当然体内への酸素の摂取量やその消費量は多いと言えるでしょう。つまり、サッカーをすることによって大量の活性酸素が発生するということです。そりゃあ、疲れるわけです。

そこで、まずはプレー前の栄養補給にバナナを選んでみましょう。電解質として重要なカリウムが多く含まれていたり、エネルギー源として有効だったりということで食べていた方も多いことかと思いますが、これでより一層、バナナにする理由ができましたね。

さらにプレー直後には、内臓の機能が低下していますから、胃に負担のかからないドリンク類として、バナナをはじめとするフルーツ系のジュースを飲むことが効果的と言えます。このピラミッドの中にオレンジが入ってこなかったのは少し意外ですね。

100%野菜ジュースでもいいかもしれませんが、あまり売っているのを見たことが無いですし(リサーチ不足?)、普段運動している者の意見としては、わざわざミキサーで作って持っていくのは結構手間です。またドロッとしていては喉越しの爽やかさに欠けるので、工夫して作らないとサッカーほど負荷の高いスポーツの後の疲れた身体には意外と厳しいものがありそうです。

市販の野菜ジュースですと、よく選んで買わないと糖分が多すぎる商品もありますから、注意が必要です。血糖値が上がりすぎてその後の食欲が制限されては本末転倒ですからね。手軽に用意するなら、フルーツ系の100%ジュースの方がよりベターだと思います。

夕食ではピラミッドにある野菜類を、なるべく生でサラダなどで摂取しましょう。酵素はもとはタンパク質ですから、熱を加えると変性してしまいます。意識して生の状態で食べられるように調理することが必要ですね。

また、疲労物質FFについて睡眠からもアプローチしてみましょう。質の高い睡眠を取るために、食事は早めに済ませましょう。食事を20時以降に取ると、内蔵の働きが低下して消化器官に負担がかかり、食べ始める時間が遅ければ遅いほど睡眠は浅いものになってしまいます。食べてから寝るまでの時間を開ければいい、というものではないのです。

そして睡眠時間についてですが、これは様々な研究で6時間がいいとか、4時間半ならぎりぎり大丈夫だとか言われているので一概には言えないのですが、個人で試行錯誤して最適な睡眠時間を見つけて頂くほか無いようです。ここに来て考えることを放棄してしまったように思われるかもしれませんが。。。

長くなったので、最後にまとめです。

  • 疲労に関わっているのは乳酸よりも、活性酸素と疲労物質FF
  • 活性酸素は激しい運動によってより大量に発生する
  • 活性酸素を抑えるためには、「抗酸化」がキーワード。その主力は「バナナ」
  • 疲労物質FFを除去するには、基本に帰って「よく寝る」こと

疲労とは、運動・スポーツをされている方だけでなく、現代を生きる私達にとって、どのように付き合っていくかが問われている非常に重要な要素です。

スポーツ、特にサッカーでは疲労の溜まり具合、コンディションとプレーは密接に関係していることが明らかになってきました。コンディショニングトレーニングが普及してきていますが、個人的にはそれだけでは不十分だと考えています。選手個々にあわせたコンディショニングは理論通りに緻密にやろうとしても、決して簡単ではないからです。トレーニングを調整して疲労を溜めすぎないアプローチと、今回の記事のような発生した疲労をどのように取り除いていくかのアプローチ、双方向からの働きかけが必要だと思います

メディカルスタッフとして、できることは多いに越したことはありませんから、これもまだまだ勉強ですね。

実は栄養関連にはものすごく興味があるので、「サッカーに特化した栄養」、なんてものを考えていくのも面白いかもしれませんね。

Yasu


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