W杯準備期間中のコンディショニング

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前回の記事から、日本サッカー協会がW杯の敗因についてまとめた記事を中心にいろいろ自分なりに考えています。今回は大会準備期間中のコンディショニングについてです。

原専務理事が語ったW杯の敗因とアギーレ氏招聘の経緯 | ゲキサカ[講談社]

 

 

怪我人の状況

今大会の敗因を語る中で、大会前のコンディショニングについても言及されていました。大きな怪我をした選手がいた、というのはおそらく長谷部選手(右膝半月板損傷)、内田選手(右ハムストリングス肉離れ・腱損傷?)、吉田選手(左膝靭帯損傷)でしょう。

そして大会中の采配はと言えば、長谷部選手は90分としてプレーをすることは少なかったですね。戦術的かもしれませんが、90分通してプレーすることに対するリスクは考えざるを得なかったと思います。仮に毎試合、怪我を理由に交代枠を必ず彼のために使わなければいけなかったとしたら、ブラジルという日本にとってコンディション調整が勝負の鍵を握る環境において、正しい選択だったのか、疑問が残ります。

吉田選手はフル出場、内田選手もフル出場でした。ですが内田選手については、今大会中は右膝蓋腱炎を抱えながらプレーし続け、ギリギリの状態であったようです。その弊害か、所属チームのシャルケでは20日に2~3週間、この膝蓋腱炎のため離脱する発表がされました。もちろん内田選手本人とこのリスクについては話し合いがあって、それでもW杯で戦うことを選択したのだと思いますが、コンディション調整の無理があってこのような新たな怪我を生むことになり、結果的にシャルケで彼がポジションを失うことになったとすれば、それもまた辛いことだと思います。その後のサッカー人生と、W杯という大舞台を天秤にかけた、難しい決断だっとと思います。

 

きちんと回復させることで強くなる

また、今回の敗因について語られた記事に、指宿での合宿はかなりハードな練習を積んだ、とあります。ハードな練習とはどのようなもので、どの選手に対してハードに行うべきか、その見極めはできていたのでしょうか?

コンディションのつくり方で言うと、指宿でかなりハードな練習を積んだが、1シーズンをフルに戦ってきた選手は逆にもう少し休ませたほうがよかったのではないかというのもある。ケガで2か月、3か月休んでいた選手は、本番でもある程度いいコンディションでできたと思う反面、シーズンをフルにやってきた選手には少し負荷が強すぎたかもしれない。

上記のように、試合に出続けた選手、出場機会を得られなかった選手、怪我で離脱していた選手のコンディション、トレーニング負荷に対する身体の許容量は同じではありません。大事なのは、選手ごとに別々の負荷が必要である、ということです。

また、負荷の高い練習を行った後に、適切な回復期間を置いたのでしょうか?ハードな練習をして身体をオーバーロードに追い込めば、フィジカルパフォーマンスが上がるという考え方を持っていたとしたら、大切な考えが抜け落ちています。それは、回復期間を置かなければ、身体は強くはならない、ということです。超回復という考えはこのブログでも書いたこともあります。

トレーニングにおける運動生理学的原理【過負荷・超回復の原理】

 

 

人間の身体はトレーニング中に強くなるのではなく、トレーニングによって傷ついた身体を、回復期間中に修復させることで、トレーニング前よりも強くなっていくのです。だからこそ、試合日程から逆算していつ身体をオーバーロードに追い込むのか、そのあと何日トレーニング負荷を下げて身体の回復を図るのか、事前のプランニングが重要になってきます。今回の敗因にコンディションが悪かったことを上げるのであれば、このような部分で調整が上手くいかなかったということでしょうか?

 

アギーレ監督と今後の日本代表のコンディション

日本サッカー協会の敗因のまとめを受けて、コンディショニングの観点からいろいろ考えたことを書いていきました。記者会見の記事内容を受けてのものですので、実際はどのようにコンディションを上げていったのか、その辺りを正確に知ることはできません。ですが、今回の敗因の記事の中で、怪我した選手やシーズンをフルに戦った選手に対して同じ負荷ではいけない、という考えが出てきたことは、そこに目が向いたというだけでもポジティブなことなのかなと感じています。

アギーレ監督がどのような選手を招集して、どのような選手を使っていくのか、選ぶ選手の能力以上に、コンディションの基準も気になります。またサッカー協会の働きかけのもと、今後どのように試合ごとのコンディショニングが改善していくか、注目して見ていきたと思います。

 

 

Yasu


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