股関節の柔軟性と大殿筋の関係【サッカー×HIP】

squat

photo credit: ljgoyke Jon Neese squat via photopin (license)

 

クリニックに勤務して何が嬉しいって自由に器具使ってトレーニングできる事だと最近気づきましたYasuですこんにちは。普通にジムに通うとお金かかるもんね。。。

さて本日は股関節の柔軟性についての記事をご紹介します。とはいえ聞けば「まあそうなるよね」という研究なのですが、「改めて確認すること」も研究の大事な役割だったりします。

 

≪Intro≫

ATC資格保有者による論文です。筆者の中には日本人らしき名前も見受けられます。下肢と腰背部、股関節の傷害には生物陸学的なリスクファクターが潜んでおり、股関節屈筋群のタイトネスによる股関節伸展制限がさまざまな下肢の骨格筋系傷害のリスクファクターであると指摘されています。

この研究で検証しているのは、股関節に伸展制限がある時の下肢の筋力、筋活動とバイオメカニクスに与える影響です。股関節の伸展制限がある被験者とない被験者の2群を、スクワット運動を用いて比較しています。

 

≪Method≫

研究タイプはCausal-comparative cross-sectional laboratory studyです。Causal-comparative cross-sectional laboratory studyとは物事の因果関係を調べるための横断研究です。因果関係には独立変数と従属変数というものがあり、原因を独立変数、その結果現れるものを従属変数といいます。すでにあるものをそのまま比較している、と言い換えてもいいですね。今回は独立変数(原因)に当たるものが股関節屈筋群のタイトネスによる股関節伸展制限、従属変数(結果)がスクワット時の筋活動及びバイオメカニクスです。

とはいえ、横断研究では得られた結果から正確に原因との因果関係を求めるのは難しいので、今回の結果もそのまま全てを受け入れるのはどうかな~、というのが個人的な考えです。

被験者はアメリカ大学女子サッカー選手40名。伸展制限アリとナシで各20名ずつです。過去3か月、下肢や体幹部及び脳・血管系にスポーツ活動を3日間連続で中止せざるを得ない傷害を経験していないというInclusionがありますが、この辺はもうちょい詳しく記述してほしかった気がしなくもないです。

股関節伸展制限:ATCがインクリノメーターを用いて計測。水平を基準とし、水平より0度以上上すなわち水平以下に伸展しない群を伸展制限アリ(Restricted)、水平より15度以上下すなわち水平いかに伸展した群を伸展制限ナシ(Normal)としています。記述はありませんが、その中間はExclusionのようです。

 

≪Measure≫

全被験者は事前に説明を受けたうえで身長・体重を測定。エルゴメーターで5分間のウォーミングアップを行っています。

筋活動:筋電を利き足の大殿筋と大腿二頭筋にセットし、それぞれ筋収縮を行わせて計測

バイオメカニクス:モーションセンサーを付けてスクワットを行い、下降期の動きを記録。5回の動作で、最低でも膝関節の屈曲が60度になるように指示しています。

 

≪Result≫

有意差が見られたのは

大殿筋の筋活動: Restrictedが約60%低下している

大殿筋:大腿二頭筋の筋活動の割合(Co-activation): Restrictedにおいて大腿二頭筋の筋活動がNormalと比較して2.6倍も大きかった

という二点。

バイオメカニクス的には有意差はなかったとのこと。

 

≪Conclusion≫

股関節伸展制限(屈筋群タイトネス)を持つ女子サッカー選手において、大殿筋の筋活動と大殿筋:大腿二頭筋の筋活動の割合が伸展制限のない群に対して低下していた。股関節屈筋群タイトネスが下肢のNeuromuscular controlに影響を及ぼしている可能性がある。

 

≪まとめ≫

股関節屈筋群にタイトネスが見られると大殿筋の筋活動が低下、さらにハムストリングスとの筋協調の割合も変化し、ハムストリングスの働きが大きくなるということが検証の結果わかりました。というのでこの論文は締められていますが、先述のように横断研究は因果関係を正確に表すものではない、ということに留意せねばなりません。今回でいえば、股関節伸展制限があるから大殿筋の筋活動や大腿二頭筋との割合が低いのか、大殿筋の筋活動が低く大腿二頭筋との割合が低いから股関節に伸展制限がでたのか、どちらが先なのかはわからないということです。

とはいえどちらが先、とまではわからなくても、両者に関連性があるなら治療家としてはある程度患者や選手の身体に起こっていることが予想できます。『ああ、股関節に伸展制限があるのね。じゃあ大殿筋も機能が低下してるかな(逆も然り)』というかんじで、要はこの情報も使い方次第で、アプローチする場所をできる限り絞り込むのには役立つでしょう。

 

Yasu


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