ジュニア年代のリーグ戦導入から考える3つのメリット

2017年5月4日

少年サッカー 加工

日本とオランダの育成についての大きな違いのひとつに、毎週末のリーグ戦の存在があると思います。日本のユース年代はちょっとずつリーグ戦の機会が増えてきましたが、ジュニア年代はまだまだトーナメントが中心ですよね。

そんな中、このような記事を見つけました。

 

少年サッカー大変革:前編 リーグ戦推進で全ての選手に試合経験を | サカイク

少年サッカー大変革:後編 「週末にリーグ戦」を当たり前の環境に | サカイク

少年サッカーに週末のリーグ戦が当たり前の環境を作ろうという制度に触れた記事です。これこそ今までの日本サッカーにはなかったもので、かつ確実にレベルアップできる改革だと思います。

 

【選手の試合経験が増える】

まず、できるだけ多く試合に出場できるようになることは大きな変化です。

現在私はオランダのFCユトレヒトU12カテゴリのチームに帯同しているのですが、オランダでは試合には必ず全選手が出場できるように監督は選手起用を行います。選手の人数も1チーム最大18人くらいです。もしプレー機会を得られなければ、選手は試合に出られなければ意味はないと考えますから、その時はチームを変えることも選択肢に入ってきます。よって監督の選手起用は試合中に全選手を出場させることがベースとなってきます。そのための制度の一つとして、試合中の複数交代が認められています。一回交代してベンチに下がった選手が、また交代してピッチに戻ることも可能なのです。

もちろん例外もあって、出場時間にも偏りが出ることもあります。そういったときは月曜に隔週で行われる練習試合で前回の公式戦にベンチスタートだった選手がスターティングメンバーになったり、場合によっては保護者に向けて「こういう理由があって選手が試合に出られないことも理解してほしい」といった内容のアナウンスがあることもあります。

簡単に所属チームを変えることができる環境というのは、日本サッカーで今すぐ取り入れられるようなことではないかもしれません。割り切って違うチームに行くのはなかなか難しいところだと思います。ですが選手起用の考え方については、このリーグ戦の導入を機にもっと広まっていけば試合経験がより増えて、子ども達の成長が期待できるのではないかと思います。

試合に出られるというのは選手にとって一番のモチベーションになり、一番サッカーが上手くなる環境づくりだと言えるのではないでしょうか。

 

【指導という面でもメリット】

また指導という面においても、公式戦日程のルーティン化というものの効果はとても大きいと私は考えます。

私が帯同しているチームの日程は、練習は月・火・木の週3日で、土曜に公式戦があります。これが基本サイクルで、試合前のミーティングでは監督から「今週はどんなことを中心にトレーニングしたかな?」という問いかけから始まります。子ども達にとっては何を意識して試合に取り組めばいいのかがハッキリします。指導者にとっても課題をピックアップしてトレーニングに取り組み、試合でフィードバックを得て、さらに次の週に活かしていくことができます。ルーティン化された日程は育成段階では非常に重要な要素だと思います。

 

【コンディショニングの面でも重要!】

メディカルスタッフの視点から言っても、この制度にはメリットがあります。

それは怪我をした選手が復帰するまでのプランを立てやすいということです。単純に一発勝負のトーナメントよりも確実に「公式戦」というものが確保されていますから、コンディションが適していない選手、怪我明けで慎重になるべき選手を強行出場させるといった状況を少しでも回避できるということです。試合というチャンスが少ないからこそ、無理をしてしまいます。そのチャンスに合わせて無理をすることが、選手自身のコンディションを正確に見極めることよりも優先化されてしまうことが、非常に危険だと考えます。最悪の場合、それが引き金になって選手生命が絶たれることもありますし、無理をすることが選手の中で肯定化されてしまうことも、後々の選手生活においてはデメリットだと思います。

「頑張る」ことと「無理をする」ことは別物ではないでしょうか?コンディション管理を教えて選手生命を長くする術を身に着けさせるのも「育成」ですよね。

ですので非常に個人的ですが、少し上の年代で「○○選手、怪我を押して強行出場」なんて見出しが育成年代関連のメディアで見られると、少し残念な気持ちになります。成人選手で自分の選手としての生き方を決めていて、本人が腹を括っているなら理解できないこともないです。そこにはきっと選手本人とメディカルスタッフやコーチングスタッフとの「大人の話し合い」が持たれていることと期待していますので。ですが育成の選手がそうしてしまうことについては「他に選択肢は無かったのか?」と思ってしまいます。ユース年代ではリーグ戦の流れが生まれてきていますが、これについてはまだまだこれから改善していくべき点ですね。

そういったことをできる限り減らすきっかけとして、小学生のリーグ戦導入による出場機会の増加は喜ばしいことだと思います。一方で、できる限りメディカルスタッフが現場に就くことも整備されるべき環境の一つだと思いますし、専門家としての質を高めることは、私たち自身が本気で取り組まないといけない部分だと思います。

 

【メディカルな環境も遅れをとらずに、サッカー界全体でレベルアップ】

以上リーグ戦導入について私自身の考えるメリットは、記事の内容とかぶる部分もありますが、ざっとこんな感じになります。

  • 出場機会が増えて選手にとってモチベーションにつながる
  • 公式戦日程がルーティン化されることで、指導する側も課題を見極めやすい
  • 試合数が確保されていることから、一発勝負に合わせた無理なコンディショニングが減る

 

もちろん今後はいろいろな制度を整備していかなければいけないですが、とても大きな一歩だと思います。試行錯誤を繰り返して、日本に一番合った形が見つかればいいですね。オランダをはじめ欧州の制度そのものが一番だとも思いませんし、そのまま日本に当てはめてもきっと上手くはいかないんじゃないでしょうか。

試行錯誤と書きましたが、きっと最初は上手く回らない部分もあるかもしれませんが、悪いことばかり見つけずに、サッカー界全体で良くする方向に持っていくことはもちろん大事かなと思います。私たちメディカルの立場で活動する人間も、これに合わせて自分を磨き、連携をとっていかないといけませんね。

 

 

Yasu


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