Jリーグ開幕!サポーターも日本人らしさを大切に。

2017年5月4日

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先週土曜日、日本ではJリーグが始まりましたね。セレッソ大阪にはフォルランが加入したり、W杯イヤーということで例年よりも注目のシーズンとなっていることは間違いないでしょう。私も、例年以上に今年のJリーグの盛り上がりに期待しています。

そんななか、こんな記事を読みました。

千葉、開幕戦黒星…サポーター抗議の“軟禁”でバス出発遅れる ― スポニチ Sponichi Annex サッカー

 

J2に所属するジェフ千葉がホームで栃木に0-2と敗れてしまったのですが、数人のサポーターによって選手バスが会場を出られないという事態が発生したという記事でした。「軟禁」などという書き方に記事を面白くするために、わざわざ言葉を選んだ意図が感じられないわけではありませんが、読んだ人に悪い印象を与えることは想像に難くありません。

Jリーグやクラブを熱く応援するサポーターがいるというのはとても喜ばしいことなのですが、日本のサポーターもその振る舞いについて考えなければならない時期に来ているということでしょうか?

 

オランダでは。。。

サッカーを比較するときに、日本はこうで、オランダはこうで、ということはよく考えます。何もオランダのサッカーがすべて良くて、日本のサッカーがすべて劣っているというつもりはありません。日本サッカーのほうが優れている部分ももちろんあります。それは、先日行われた日本対オランダの試合から見ても明らかなことだと思います。

ですが今回のような事態から考えると、「日本サッカー」という文化はやはりまだまだ未成熟、と思わされました。

オランダでもホームチームがサポーターの期待に添えないようなサッカーをして敗れる、ということはもちろんあります。試合中にブーイングはしますし、内容が面白くなければ試合終了のホイッスルを待たずに帰るサポーターだっています。

昨シーズン、私がユースチームに関わっているFCユトレヒトはヨーロッパリーグに出場しましたが、ルクセンブルグ4位のディフェルダンジュに敗れ、敗退となってしまいました。

高木善朗が活躍を誓うオランダ3季目 – スポーツナビ

 

 

一方はオランダ1部リーグのプロ契約選手で構成されたチーム。もう一方は選手としてプレーする傍ら一般の方と同様に仕事もしているセミプロ選手のチーム。この試合をユトレヒトのホームで見ていたのですが、残念ながら勝ち星を得られるような試合内容ではありませんでした。例えばユトレヒトはアヤックスと試合をする時は、まるで親の仇を相手にするかのように闘争心むき出しでプレーをし、オランダ最高峰のチームを苦しめる戦いをするのですが、そのような気迫はほとんど感じられなかったのです。根性論を前面に押し出すつもりは毛頭ありませんが、やはり試合にかける強い気持ちがあるか無いかでプレーの出足のスピードや切り替えの早さ、一つ一つのプレーのクオリティは変わってくると思います。

そんなふがいない試合をしたチームにユトレヒトファンはブーイングの嵐、ユトレヒトよりも試合中に必死さが出ていてほぼ試合を支配していた相手チームには賞賛の拍手という、異様なスタジアムの雰囲気でした。

それでも試合が終わるとユトレヒトファンはすっきりしたのか多くは家路につき、残った人もスタジアムから出てくる選手たちやスタッフをねぎらうために正面入り口に集まっていました。何人かのユトレヒトスタッフの友人とも話をしましたが、ほとんど全員が「勝つべき相手だったのに、残念だ。だけどこれがサッカーだ」といった内容のことを語っていました。

 

オランダ人と日本人

自分のひいきするチームが酷い負け方をしたのにも関わらず、案外さっぱりしていたオランダ人サポーター。私はオランダ人と日本人の国民性の違いを考えた時に、良くたどりつくのが「オランダ人は自分の感情をセーブすることがなく自由にさらけ出し、日本人は逆に周囲のことを考えて我慢強く感情を抑え込む」というものです。要は、日本人のほうがオランダ人よりも感情のコントロールがうまいと感じていたのですが、今回の千葉の一件とユトレヒトファンの振る舞いを比較してみると、あれ?という感じになりました。(もちろん、ユトレヒトにも時々タチの悪いサポーターはいますが。。。汗)

 

チームを支える一方、チームの顔にもなるサポーター

サポーターは、文字通りチーム・選手を支える存在です。時には厳しい意見をチーム・選手にぶつけることもありますが、それは自分のお金でチケットを買って、自分の時間を使ってスタジアムに足を運んでいるサポーターにとっては当然の権利です。バスを囲んだりする背景には、結果を出せないチームへの苛立ちや強いチーム愛があることも理解はできます。

ですが、間違ってはいけないのは「やり方」だと思います。「方法」が「目的」になってはいけない、とはよく言われることですが、その方法が目的達成のためにデメリットをもたらすことになるのならば、方法を改めるべきであり、よく考えなければなりません。具体的には、チームを勝たせたい、という思いから選手バスを囲んだりするのであれば、選手のコンディションを第一に考えて選手をすぐに帰し、のちに別の手段でチームに抗議することを考えるべきでしょう。それがチームを支えることになります。

また、自分たちと同様にチームを応援するサポーターを増やしたい、と考えるのならば感情的・直情的なイメージを抱かせる試合後の抗議、という行為はすべきではないと思います。サッカーを良く知らない、まだサッカーに興味を持ち始めたばかり、というこれから応援していこうという人たちには良い印象を与えないでしょう。もし自分が良く知らないほかの競技の観客が同様のことをしていたら、私はその競技からは距離を置くことはあっても、もっと応援したい、とはなかなかなれそうにありません。サポーターの様子をみてその競技やチームのイメージを抱く人は少なくないと思います。ちなみに、今回の件はツイッターなどで検索してみると、結構な数の意見が出てきます。

もっとも、試合で溜まった鬱憤を晴らしたい、という思いだけで過激な行動に出るのであれば話は違ってきますが、日本のサポーターは決してそんな人ばかりではないはずです。

 

サポーターの声が届くように

で、ここまで書くとじゃあサポーターだけが頑張らなければならないのか、という話になってきますが、事はそうでもないと思います。「方法」を間違ってはいけないとは書きましたが、サポーター側が間違った方向に進まないために、クラブ側はどのようなアクションを起こしているのでしょうか?ファンが居座った時だけ、拡声器を使って監督がスタンドに向かって話をしている様子を映像で見ることがありますが、果たしてそんな状況下で良い話し合いができるのでしょうか?

これまたユトレヒトの話になってしまいますが、ユトレヒトにはオフィシャルのファンクラブがあり、割と不定期ではありますが監督やテクニカルスタッフ、さらには選手も参加してのファンとのミーティングが行われます。ファンクラブ側には、ビジネスシートの人からゴール裏の熱狂的なファンまで、様々な人が参加します。そこで、双方がお互いに求めることを話し合うわけです。また、練習場でもスタッフとファンの人が世間話をしているのをよく目にします。さらに、このブログでも取り上げたことのあるBoerenkoolavondというクラブのイベントでは、ファンクラブのメンバーが招待されたり、とにかくクラブとサポーターが容易に接することができるこの垣根の低さは、すごいことだと思います。

FCユトレヒトのイベントから見る、クラブという一つの組織| フットボールノコトバ。

 

 

あまりJクラブごとの状況には詳しくないのですが、このような活動はどんな感じで行われているのでしょう?サポーターの声が届く環境があれば、今回のような居座りやバス囲みのような事態も少しは防げたりするのではないのでしょうか?何か起こった時だけでなく定期的に話し合いの場を設けるといった、クラブ側の努力も必要になって来ると思います。

とある方の論文を読むと、やはりクラブへの信頼度が低い場合に、サポーターが何らかの抗議行動に出ることが考えられています。成績不振による信頼度の低下は、結果を出すことでしか解消されていきませんが、それ以外の選手起用や移籍問題などについての不信感は、話し合いによってある程度解消できるのでは、と思います。

とにかく、サポーターと密なコミュニケーションを取り続けることは、やはりクラブ側にとって大事な活動だということですね。

 

日本人らしさとサポーター

前述しましたが、我慢強さをもっていることは日本人の良さの一つだと私は思っています。もちろん、心身の健康を損ねるほど我慢すべきではありませんが、周囲の人を気遣って自分の行動を抑制できる、という部分は日本が世界に誇れる部分だと思います。多分に私見が入るところですが、「誰かに何かを言われたら、行動を改める」というのはおそらく世界中の多くの人ができることですが、「言われる前に周りを見て自分の行動を改める」ということは、なかなかできることではないのではないでしょうか。

とはいえ最初の記事の件は本当に一部のことだと思います。

その証拠に、世界では日本のサポーターは高く評価されています。

ヤングなでしこvsドイツの試合後、国立競技場に集まったサポーターの「 ある行動」によりFIFAから褒められる『まさにフェアプレー Fantastic!!』【日本代表について議論するページ】

 

こういう日本人らしさというのは、本当に世界に誇れる部分だと思います。

最近は選手たちのプレーについて、海外の真似ばかりせず日本人の特徴に合ったプレーを、という考えが増えてきたと思います。サポーターにも同様のことが言えるはずです。試合中は一生懸命応援しつつも、感情に流され過ぎず我慢強くチームをサポートし、かつ周りの人のことも考えて行動することができる。そんな姿を一例として、「日本人サポーターらしさ」みたいなものと一緒にJリーグが成長していくことが、日本サッカーが世界の強豪国と肩を並べるために大事になってくるところなのかなと、オランダで日常的にサッカーに触れていて、そう感じている今日この頃です。

 

 

Yasu


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