「うちの子、足が遅くて…」という心配より、もっと大事なことがあります。

foot race

photo credit: Dog day at the races via photopin (license)

小学生のお子さんをお持ちの方なら皆さん、共通の思いがあるかと思います。自分のところの子の運動能力はどうなのかと。かけっこが遅かったり、力が弱かったり、試合で活躍できなかったり、見ていてやきもきすることもあるでしょう。きっとその気持ちは自然なことだと思います。指導者の皆さんも現場でよく見る光景かもしれません。

でも、もしその心配が「小学生レベルでバリバリ活躍できない」→「年齢が上がった時に上のレベルでサッカー出来ない」→「プロになれない」→「子どものためにならない」という考えで来ているなら、ちょっと待ってください。まあこれは極端な例ですけども。

オランダのプロサッカークラブのユースチームにいて5年ほど、オランダ人の子どもたちがどのように成長していくかを見てきて思うことは、こと運動能力(ここでは試合で表れるフィジカル面での違い)においては、小学生年代の周りとの差と、中学生年代での周りとの差、高校生年代での周りとの差は、少しずつ小さくなるよね、ということです。もっといえば、12歳以下では身体能力1つで圧倒的なプレーを見せていても、彼らが15歳、18歳になったときに同じように身体能力で周りを圧倒できるかというと、そうでない場合が多いということです。

冒頭のツイートのように運動能力の優位性、特にわかりやすいのが足の速さですが、たとえ小学生の時にめっちゃ速くても、年をとっても周りよりずっと速いとは限らないし、試合でずっと活躍できるかといえばそうではないのです。

成長期が来れば人間の筋肉は次第に大人のそれになっていきます。いわゆる遅筋繊維よりも速筋繊維の割合が増えていきます。背だってどう伸びるかわかりません。もって生まれた足の速さや体の強さ一本槍で小学生年代を過ごしてしまうと、順調にサッカーのトレーニングを積んできて成長期に一気に身体能力が伸びた子達に、ピッチでの活躍の場を奪われることだって十分に有り得ます。

僕が見てきたオランダのユースチームでも、U12時代に抜群の足の速さと身体の強さで得点を量産していた黒人選手が、年代が上がるにつれて試合で活躍できなくなり、U16の時にはチームを去ることになりました。もちろんこれは彼自身だけの問題ではなく、彼のサッカー選手としての能力を伸ばせなかったコーチングスタッフの問題でもあります。

 

≪小学生年代のサッカーに薦めたいこと≫

目に見えてわかる足の速さや身体の大きさ、試合の結果にやきもきせず、楽しんでサッカーができたかを大事にすることです。どれだけ勝ったかではなくどれだけサッカーが上手くなったかに価値を置くべきです。また、身体の扱い方を身に付けるこです。思い通りに緩急がつけられたり、思い通りに方向転換ができたり、思い通りのタイミングで動き出しができたり。これは足の速さや力の強さとは別物です。地味で、伸びたのか伸びてないのかわかりにくく、足の速さのような派手さはありません。でも大事です。

もって生まれた身体能力(足の速さや力の強さ)の違いからくるサッカーのプレーの違いは、子どもの頃はどうやっても埋められなくても、サッカーを知り自分の身体を扱えるようになって、自分の身体が成長していったときに、きっと同等に戦えるようになります。見守る側も、もうちょっと待ってみましょう。もちろん何もせずに、という意味ではなく指導する側にも見守る側にも、サッカーを教えることと楽しさを体験させること、結果ではなく成長(身体だけでなくトータルで)にこだわること、が求められます。子ども達が自分にあったレベルでプレーできるように環境を整えたり、サッカーの能力の中でどこが上手くなったのかに注目してあげたり、もちろん人間的な部分もです。これが次の世代の日本サッカーを作っていくのだと思います。そういう意味では、僕自身を含めて、サッカーに関わる大人の責任は重大ですね。これからの子供たちのためにも、頑張ります。

 

 

Yasu


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