失敗を失敗と思わない文化が選手を育てる

tryanderror

photo credit: Climbing via photopin (license)

先日、日本のジュニアユース世代のチームのオランダ遠征のプログラムの一部をお手伝いする機会がありました。

具体的には、オランダのプロユースアカデミーとの交流プログラム、スタッフ同士の交流やオランダのチームスタッフによるプレゼンテーションの通訳を担当だったのですが、最後にプレゼン担当のスタッフが感想を選手に聞いたときに、全く答えが返ってきませんでした。完全に沈黙していました。指名しても、沈黙は続きました。

長くオランダの同世代の選手に接してきたこともあり「ああ、そういえば日本の子ども達ってこういう感じだったな」と改めて知ることにもなりました。オランダの子ども達とは「自分の意見を言う」ことに対する捉え方が大きく違うということです。

なぜここまで違うのかと考えて見た時に、ある文化的な違いが影響しているのだなと思いました。それがピッチ上でも実は表れているんじゃないかとも思います。

 

≪自分の感情、感想、意見を自分の言葉にすることに慣れているか≫

まず最初に、自分の意見、考えを表に出すのは、普段からそうやっていないと出来ません。

僕はこのブログを書いているからわかるのですが、更新の期間が長く開いてしまうと、いざ書こうと思ったときに上手く筆が進まなくなります。自分の中から言葉を引っ張り出すには、それなりに訓練が必要ですし、その能力は使わないとどんどん衰えていきます。ましてやまだまだ国語力というもの磨いている最中の子どもであれば、それはなおさらなことです。

普段からそういった環境にいて言葉を紡ぐことに慣れているのかどうか、というのはとても大きなポイントです。

僕がオランダのユースチームで見てきたことは、子どもたちは疑問に思ったことはすぐにコーチに質問します。自分の頭の中を表現することはもはや日常です。

ですが日本のチームではどうでしょうか?

もしコーチや監督から言われたこと、指示されたプレーをすることだけが評価されるのだとしたら、自分の意見を言う、という能力は育ちにくいということは想像に難くありません。

 

≪失敗を悪いものだととらえるか≫

そもそも、自分の意見や感想を言葉にするときに大事なのが「失敗したらどうしよう」という考えと向き合うことです。

発言することは、実は勇気がいることです。「笑われたらどうしよう」「見当違いなことを言ってしまったらどうしよう」という考えは、誰しもが持つことだと思います。もし子ども達が自分がいる環境(例えば家庭、学校、チーム)で、いかに正解を見つけたり間違わないかということを求められるとしたら、発言するための勇気は小さくしぼんでしまうことでしょう。

言葉を実際に外に出すことで、自分自身思ってもみなかった考えや感情に気づくことがあります。自分の持っている考えをさらに深めていくことに繋がります。

失敗を失敗と思わない、失敗なんかは存在しない、という考え方は、自分の意見を積極的に出していくための大切なエンジンになります。そうすることで、物事を考える力が少しずつ育っていくのです。

 

≪自分の意見が言えない、失敗を気にしすぎることとサッカーの上達≫

ここまでは、「言葉」や「考え方」だけの話でしたが、これがサッカーのピッチの上ではどうなるでしょう?

自分の思っていることが言えない、考えを言葉にすることができない選手と、出来る選手では、どちらに伸びしろがあるでしょうか?

言葉にすることで自分が戦術をどれだけ理解しているか、チームメートやコーチと話すことで気づき、より良くすることができます。

失敗することを気にしすぎて「何も言わない」、失敗を恐れて安全なプレーばかりする選手と、「失敗は悪い事じゃない」と考えて目の前の事にチャレンジする選手では、どちらが上達が早いでしょうか?

実行してみて、実際に結果として上手くいかないプレーを経験してみない事には、どうやったら上手くいくのかを知ることはできません。サッカー選手として「上手くいかない」「失敗」をたくさん経験したほうが、上手くなるのは当然のことです。

僕がついていたオランダのユースチームでも、選手は試合中に何度も失敗します。それでも、失敗したことを起こるコーチはほとんどいません。(既に出来ることが出来ないときは怒ります。椅子蹴ったりします。笑)結果、選手は試合中に何度もチャレンジして上手くなっていきます。

 

≪まとめ≫

自分の意見がパッとでてこない日本のユース選手を見て思ったのが、その原因は普段から自分の意見を周りに出してくことに慣れてないことにあり、その根底には「失敗したらどうしよう」という考えがあるのだということでした。そしてそれは、サッカー選手としての成長にも大きく影響します。

日本では特に「失敗しないこと」「周りに迷惑をかけない事」が重要視されます。もちろんそれは大事なことで、それができる人は素晴らしい人であることは間違いありません。

ですがそのためには、どうやったら失敗して、どうやったら迷惑をかけるかを身をもって知らない事には出来るようにならないことも事実です。

失敗せずにそんな人になろうと思ったら「何もしない」以外に選択肢はありません。

「失敗」を成長するための重要なプロセスであると考えること。

日本と海外のサッカーに差があるとしたら、戦術的な部分や肉体的な部分ももちろんあるかと思いますが、育成年代におけるこの考え方の有無かもしれません。


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