何気ないシチュエーションから予想だにしない怪我へ

doctorheli

photo credit: Eurocopter EC 135 via photopin (license)

 

週末のリーグ戦、私の帯同するFCユトレヒトU15は順調に勝ち星を積み重ね、現在リーグ首位に立っています。

本日の対戦相手は名門フェイエノールトU15でした。

この試合の内容はまた後日お話しするとして、今回は先週のリーグ戦の話をしようかと思います。

対戦相手はアヤックスU15。

それだけでも充分特別だったわけですが、この試合はまた違った意味で記憶に残る試合となってしまいました。

 

<<試合中に怪我が発生。その診断は。。。>>

アヤックスとの試合の後半、自チームのボランチの選手が相手と接触してピッチに倒れました。

不運にも私の位置からは別の選手が被ってしまい、その瞬間ははっきりとは見れなかったのでが、とりあえずピッチへダッシュしました。

ベンチからは逆サイドのタッチライン際でしたので距離があったのですが、走りながら「なんか他の選手の様子がおかしい」と感じました。

自チームも相手チームも全員が彼に注目しているのです。

彼は地面に膝を伸ばした姿勢で座ってはいましたが、右脚を全く動かすことが出来ず、ただ痛みを訴えるだけでした。

異様なほどの大声で。

最も重傷な場合を考え、ヘルプでアシスタントコーチとマネージャーを呼び、患部とその上下の関節を出来るだけ動かさないように支えながらピッチの外に運び出しました。

さらにチームマネージャーに救急車の要請を、クラブホペイロに練習場のゲートを全開にしてもらい救急車の通路を確保をしてもらいました。

試合は継続されチームはアヤックス相手に奮起し得点を重ねスコアは3-0に。

彼の容態の変化に気を配りながら、さらなる怪我人の発生にも注意しなければいけませんでしたから、試合の細かい内容は一切入ってきませんでした。

やがて救急車が到着し試合は20分ほど中断。

救急隊員による処置が終わり彼は病院へと運ばれていきました。

試合は結果4-1でアヤックス相手に大勝を収めたのですが、正直搬送された選手のことが頭から離れず、心から喜べたかと言えばそうではありませんでした。

しばらくして、私のもとに入ってきた彼の診断名は「大腿骨骨幹部螺旋骨折(Spiral fracture)」でした。

 

<<自分の対応は完璧だったか?>>

【螺旋(らせん)骨折】

捻転骨折とも言う。骨に対してねじるような力が加わったことにより発生、患部に螺旋状の亀裂を呈する骨折。

 

サッカーの試合で骨折した選手を処置するのは初めてではありませんでしたが、大腿骨の骨折は私にとって初めてのケースでした。

試合中は受傷の瞬間を観ることが出来なかったのですが、後日ビデオ分析担当から送られてきたビデオを監督たちと一緒に見てみました。

映像には彼が左足でトラップした後、右脚に体重が乗った瞬間に後ろから押され、そのまま転倒しているのが映っていました。

これが受傷機序のようです。

サッカーの試合ではありふれた動き、シチュエーションですが、それがここまでの重傷を引き起こすとは。。。

いつ何時も油断してはいけない、ということですね。

そういえば、最初に彼のもとに駆け寄った時に彼の大腿部のちょうど真ん中あたりに明らかな凹みが見られました。

最初は筋断裂の凹みかと疑ったものの、痛がり方や全く動かせない様子から骨折の可能性に切り替えて処置しましたが、今思うとあの凹みは螺旋骨折によってできた骨折部のものだったのでしょう。

加えて最初のピッチ外に出す搬送はまだ配慮が甘かったと反省しています。

少し離れたところに選手の保護者も立っていましたから、もう一人二人呼んで搬送をより安全なものにすることもできたはずです。

骨折時は患部を動かさないこと、患部の上下の関節を動かさないことがまず大事です。

骨折の可能性を考えてその時は最大限注意したつもりでしたが、今になって振り返ると、冷静さが足りなかったように思います。

レアな症例だったとはいえ、もしそれで患部が必要以上に変形することになっていたら、「慣れていないから」で済まされるはずがありません。

自分のまだ未熟な所だと思います。

 

<<彼の一日も早い復帰を>>

そして彼は搬送後、病院ですぐに手術を受けたということです。

まだ14歳ですので骨折の治癒は成人と比較しても早いとは思いますが、それでも5月上旬に終了するリーグ戦への復帰は難しいとの見立てでした。

ボランチでスタメンとして出ることが多い中心選手でしたので、チームとしても痛い離脱です。

そしてこの時期は、来シーズンの次のカテゴリに上がれるかどうかの最終評価がなされる時期でもあります。

監督からの評価は高い選手ではありますが、どうなるのでしょう。

出来ればこのままU16へ昇格してほしいところですが、これについてはまだ監督の考えは聞けてはいません。

私が彼より先に聞くのもおかしな話だとは思いますし、結果を待ちたいと思います。

なにより、この怪我から彼が復帰して一日でも早くまたピッチに戻って来られることを願っています。

 

 

Yasu


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