私が小さい子どもにサッカーをコーチングするときの軸は「特徴の理解」と「余裕(強がり)」

kids soccer

私は週に一回、現地の日本人の子ども達を対象にサッカーを指導しています。メディカルが本職のハズの私にそんなことができるのは、ひとえに「J-Dream FC」というクラブの方々のご配慮とその器の大きさによるものであることは、言うまでもありません。

J-Dream Football Club

私はコーチングは専門ではありませんから、毎回試行錯誤しながら子ども達と一緒にサッカーを一から学び、成長していっている感じです。

私が普段指導している日本の子ども達は小学校1年生が中心で、まだサッカーを始めたばかりの子が多く、一年かけて少しずつドリブルやシュートができるようになっていきます。

以前、子どもへの接し方について記事を書いたことがありました。

子どもへの接し方は基本?メディカルスタッフとして選手とコミュニケーションをとる | フットボールノコトバ。

 

 

子どもそれぞれを見て、どのようにコミュニケーションをとっていくのか、という部分が大事だと書きました。それ以外にもトレーニング中に気を付けていることがあります。それは、「子どもは長時間じっとしていられないもの」だと理解しながらトレーニングを行うということです。

 

【オランダサッカー協会が考えるこの年代の特徴】

この年代を理解するにあたって、ここオランダのサッカー協会はどうこの年代の特徴を捉えているのでしょう。ちなみに、オランダサッカー協会の分け方では、5-7歳は「Mini(ミニ)」と呼ばれます。その子ども達の特徴は、抜粋・要約になりますが、以下のような感じです。

  • プレーしたい、得点したいという気持ちが強い
  • 集中力がない
  • 周りと協力してプレーする意識は少ない
  • 非常に活発であり、歩くより走ることが好き
  • 視覚と運動が上手く協調されるようになり、ドリブルやものを狙うということができるようになる
  • 二つのことを同時にこなすのは苦手。よってボールをコントロールしながらフリーマンを探すのは難しい
  • 情報を処理するのは大人の3倍時間がかかる
  • 成長には個人差があり、5歳の子が7歳の子よりも運動能力が高いこともある

他にも以前オランダサッカー協会の指導者講習の際、講師の方に教えていただいたのは、とにかく「じっとしていることが難しい」ということです。集中力がない、ということにもつながりますが、これには特にピンときたことを覚えています。まさに私が普段実感していたことだったからです。

 

【普段教えている子達の場合】

さて、以上の内容を当てはめてみますと、確かにそのとおり、と思う部分だらけです。先述しましたが、特に「じっとしているのが難しい」というのは身をもって体験したことでもあります。

新年度が始まる4月頃は、こちらが話をしたり説明をじっくりしようと思っても、とにかく子ども達は動いていたくて仕方ない様子です。ちょっと油断すると寝転がったり、ボールを蹴り始めたりします。もちろん全員ではないのですが、静かに話を聞くということはやはり難しいことで、それに対して無策で臨んでしまうとトレーニングが一気にバタバタしてしまう、なんてこともあります。

 

【特徴だと理解すること】

実際のところ、話をしている間じっとしていられないのはこの年代では仕方のないことだと思っています。もちろん「相手が話をしている時に静かに話を聞かないといけないよ」ということは教えます。それは彼ら・彼女らが成長していく過程で、周りの友達や大人と接していくうえで出来るようにならなければならないことだと思うからです。何度注意しても直らない子には練習後に1対1で話をすることもあります。

ですが、そのいろいろな働きかけの結果それでも、じっとできないという現象が起こることも事実です。そんな時に重要なのは教える側の「根気強さ」ではないかなと思っています。「静かに話を聞く」という結果が得られないときに、「今伝えることは伝えて、次の練習ではどうなるか様子を見よう」と、上手くいった・いかないの判断をすることを少し先まで我慢するということです。

私はこの現象をなんとかしようと必要以上に躍起になることはしないようにしています。それは、先程も述べたようにそれがこの年代の「特徴」だからです。長所でも短所でもなく、ましてや欠点でもありません。それは、成長とともに変わっていくことです。そうなることを期待して、こちらからは「じっとして話を聞く」ということを伝え続けます。そうすると、そういったことができるように神経系が発達し様々な経験が積み重なっていった時、「これは守らないといけないことなんだ」と自分で判断して、その結果できるようになるのだと思います。過去に指導した子ども達も、その時期に違いこそありましたが、皆それができるようになっていきました。トレーニング中の指導だけによってそれが培われたわけではなく、子ども達の自然な発達と、様々な場面での大人からの働きかけ、どれか一つではなくそれらすべてが噛み合ってこそのことだと思います。

 

【特徴に合った指導】

その一方で、こちらがトレーニングの指導のやり方を工夫しないわけには行きません。要は「じっとできない」ことがトレーニング中に問題になりすぎないようにすればいいのです。私が気をつけていることは「退屈させない」ことです。

単純に、話を聞いているあいだ退屈だから注意が他に向いてボール遊びを始めたりするのですから、退屈させないようにします。まずは説明を簡潔にし、話を聞いている時間を短くします。さらに、私はよく子ども達に質問するようにしています。「これは何か知ってる?」「なんでこうなるか、わかる人?」といったようなものから、「○○くん、これどう思う?」と名指しで聞いてみたり、とにかくたくさん接してアクションを起こさせます。考えることを習慣づけるという目的もありますが、それよりは、よりこちらの言葉に集中してもらえるようにする工夫です。

さらに、練習のオーガナイズも気をつけています。よく一つの練習で長い列を作って子供たちが持っているという状況がありますよね。あの状況も、子ども達の集中が他に行ってしまう現象を引き起こします。できるだけ待ち時間が少なくなるように、距離だったりオーガナイズの数だったり、トレーニングの難易度だったりを調節しています。もちろんまだまだ改善の余地はたっぷりとありますが。汗

 

【コーチのほうが余裕を持って接する】

この小学校低学年年代の特徴である「じっとしていられない」ということを今回は取り上げましたが、コーチングをする際に大事なのはトレーニングの進行に完璧を求めすぎないことでもあると思っています。なぜなら子ども達はサッカー選手としてある前に、まだまだ人間として成長途中だからです。子ども達はこちらの思ったように動かないのがフツウ、ぐらいでいかないと、いざという時に焦ってしまいますよね。そのへんの変化は子ども達も敏感に感じ取りますから、ますます上手く回らなくなって状況は悪化、なんてこともあります。教える側は「想定外に見せかけて、実は想定済みだし(強がり)」ぐらいでどっしり構えてたほうが、上手くいくんじゃないかなと思います。それはコーチに限らず、メディカルスタッフも、学校の先生も、同じかもしれませんね。

 

 

Yasu


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