早い年代から、自分の身体を思い通りに動かせるように

草原子どもサッカー

私は毎週日曜日は、小学校低学年向けにサッカーの指導をやっています。

サッカーを教えつつ、子ども達の運動能力やコーディネーションの成長を観察しているわけですが、そこではいろいろな発見があります。

子ども達の運動能力を見ていて私が最初に気に掛けるのは、「自分の身体を思い通りに使えているかどうか」という点です。

これはすなわち、右にも左にも動けるか、止まりたい時に止まれるか、動き出したいときにスッと時間を掛けずに動き出せるか、さらには自分の身体が今どんな姿勢にあるか感じ取れるか、といったことです。

 

身体を自由に扱える子ほど、ボール扱いの上達が早い

このように自分の身体を思い通りに動かせる子ほど、ボールを扱うという点で上達が早いのでは、と最近考えています。

もちろんサッカーのテクニックという点ではそこにさらに状況判断というものが関わってきますが、ここから先は純粋なボール扱いのみに触れて、今の私の考えを書いていきます。

 

修正と再現

ボールの扱い方が身に付くプロセスというのは、運動学習のプロセスから考えると、実行して失敗する、失敗したやり方を修正、その修正したものが定着するまで、修正された動きを何度も再現することで成り立っています。

インステップキックを例に挙げます。

まず最初にボールを蹴ってみて、ミートが悪く、上手く蹴れなかった(狙ったところに飛ばなかった)とします。

これが「失敗」です。

その失敗を受けて、どうすれば足の甲でボールの芯を捉えることができるのか、自分の中の足の位置感覚や動かし方を「修正」します。

すると、この次は上手くミートすることができたとします。

この「修正」された動きを繰り返し再現していくことで、特に意識しなくてもボールの芯を足の甲で捉えることができるようになります。

これが「定着」です。

身体を思い通りに扱える子は、思い通りに扱えない子と比較して何が違うのかと言うと、「修正」によって適切な動きに辿り着くのが比較的早く、「定着」させるために必要な、その「修正」された動きをより多く再現することができる、ということが言えます。

足の甲で芯を捉えるために、「もう少し足首を伸ばしてみよう」「足をこう振ってみよう」「脚の踏み込みをボールの真横にしてみよう」というアドバイスは、指導者から子ども達に伝えられることは多いと思います。

そうしたアドバイスをもとに「修正」していって、「上手く蹴れた」という成功体験に辿り付くことが第一歩。

つぎに、その成功体験と同様の動きをして成功体験を重ねていけば、特に足首が伸びているかどうかや、足の振りを意識しなくても身体がその動きを覚えて、「定着」するのです。

 

身体の感覚が大事

逆に身体を自由に扱えない子は、たとえば足首をしっかり伸ばして蹴ることさえ容易ではなく、修正に時間がかかります。

たとえ一回、上手くボールが蹴れたとしてもそれをまた再現するのには、より多く回数を重ねなくてはいけません。

ところが上手くいったイメージを求めて何度も実行を重ねるのですが、自分の身体がどう動いているかのイメージが頭の中にない(もしくはイメージと実際がずれている)から、なかなか以前できたはずの修正されたキックに辿り着きません。

結果、成功体験を重ねるのに時間がかかり、「定着」するのに時間がかかるのです。

自分の身体がどう動いているのか、その認識が上手くできていないと、たとえ同じようにやっているつもりでも、出来る時と出来ない時が出てしまうのです。

 

試合で活きるテクニックの習得

今回の話は純粋に蹴り方が身に付くまでを追ったものですが、あくまでそこだけを「切り取った」お話です。

実際のトレーニングではテクニックと状況判断は切り離して考えるべきではありません。

自分のいるポジションはどこで、どの方向に、どのタイミングで、どのような強さで、パスをするべきかという判断です。

そのシチュエーションのトレーニングの中で、キックそのものも一緒に向上させていくうえで大事なのが、「自分の身体を思い通りに動かす能力」です。

身体を思い通りに扱えるようにする、いわばコーディネーション能力を鍛えるトレーニングは、もちろんどの年代から始めても遅すぎることは無いですが、ゴールデンエイジ(技術習得にかかる時間が少ない時期・10~12歳)を迎える前にベースとして持っておけば、さらに効率のよいボール扱いの向上が望めるのではと思います。

 

まとめると、判断させるシチュエーションを伴ったテクニックのトレーニングの効果をより大きくするためには、それに先立って(もしくは並行して)、早い年代から子ども達は自分の身体を(完璧とはいかないまでも、できる限り)思い通りに動かせるようになることが望ましい、と言えるのではないでしょうか。

そんなことを考えた、少年サッカーの指導でした。

 

 

Yasu


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