メモを取る?話に集中する?講義におけるマルチタスク

講義風景

先週の土曜日になりますが、とある講演会がオランダ某所で行われました。その講演会は少数精鋭によって行われ、時間にして深夜0時にまで及びました。

その内容は訳あってここではお話しできないのが残念ですが、オランダの冬の寒さを吹き飛ばすほどの熱い夜だったとだけ、申し上げておきましょう。

さて、その講義の最中、私は学生として鍛え上げたライティング技術をフルに活用して内容をメモに取りながら、できる限り多くの情報を我が物にせんと奮闘しました。

ところが周りに目を走らせてみると、ここまで多くの情報をメモに取っているのはなんと私ぐらいなものだったのです。もちろん、ほかの参加者の方々もメモを取ってはいましたが、その量は圧倒的に私のほうが多かったのです。

ここでふと考えました。講義内容をメモに取ったほうがいいのか、それともメモは取らないほうがいいのか

そこで今回は「メモをしっかり取ること」について、考えてみたいと思います。

 

【メモを取ることのメリット・デメリット】

私は現在、絶賛学生中ですから、授業中にノートをとるのはまさに息をしているのと同じようなものです。普段の授業ではパワーポイント中心で、さらにその授業教材も手元にありますから、メモするのは本当に自分が気づいた部分だけでよかったのですが、今回の講義では教材がなく、パワポの内容も必要だと思ったら自分でメモを取らなければなりませんでした。

もちろん私も速記者ではありませんから、そのパワポの内容や講師の方の話を一字一句漏らさず書き続けるというのは不可能です。どこかで必ず妥協する必要があります。それがいわゆる「メモを取るのは自分が重要だと思ったポイントに絞る」ということだと思うのですが、どうも私の「重要だと思ったポイント」は他の人よりも若干多いようです。

このように、講義を受ける時の状況にもよりますが、私が考えるメモを取るべきメリットは次の3つです。

  • 重要な情報を逃さないようにするため。人間は忘れる生き物である。
  • 講義のスピードに遅れないように書き留めていくため、脳に緊迫感が生まれ、集中力がアップする。
  • 書いている途中で、どこを理解していないのかがわかる。

 

基本に返ろう:完璧なメモを取る方法 : ライフハッカー[日本版]

リンク先の記事にもあるように、メモ取りの目的は情報を覚えやすくすることです。講義の内容を聞く→後で思い出そうとしたときに頭の中であやふやになっている部分をメモで補完する。というのが代表的な例でしょう。人間の記憶というのは、一日経つとその情報の7割を忘れてしまうといいますから、後から思い出すことをサポートする媒体としてメモは必要です。

そして単語や簡略化して内容を記述するためには頭の中でその内容を聞いた瞬間に理解しなければならないため、理解のスピードが速まる、という効果が期待できます。脳科学の研究によると、緊迫感を持っているとき、脳は集中力がアップするそうです。

また、やみくもに書いているわけでもありません、後から見返してわかりにくいノートを書いても仕方ありませんから、なるべくきれいにまとめながら書くようにはしています。そこで難しい記述を簡単なものに書き換えたり、内容同士の関係性も書き込んでいこうとすると、内容を理解していなければそのような加工が難しいわけです。つまり、きちんと理解できていないポイントがハッキリわかるわけです。

 

もちろんメモ取りに勤しむことにはデメリットも存在します。

  • 書くことに集中しすぎて聞き逃す
  • 頭の中で理解し、発展させる部分がおろそかになる
  • 単純に腕が疲れる

 

メモやノートを詳細に取るのは逆効果 | Divide et impera

これまたリンク先からの情報ですが、ハッキリ言って過剰にノートをとることに固執してしまうのは、講師の方の話を聞き逃す可能性が高いため、かなり注意が必要です。スライドの内容は目で見て確認できるからいいですが、講師の方が話しただけの内容というのは、「うーん、ここはどうやってまとめて書こうかな」なんて考えているとあっさりスルーしてしまいます。下手をするとスルーしたことすら気づかない、といった状況さえ起こります。

講師の方の話を聞くことに100%力を注いだほうが理解が深まるというのは、言うまでもありません。スライドの内容、話の内容を聞いたうえで、自身の体験談とリンクさせることができれば、その情報の価値は飛躍的に高まります。そうすることで疑問点も浮かびやすくなってくるでしょうし、学習効果は高いと言えます。

さらに言えば、何時間もペンを走らせることは腕の力を想像以上に使います。ほどほどにしなければ、この疲労に集中力を持っていかれるなんてことも・・・。

 

【メリット・デメリットを理解したうえで、少しずつ脳を鍛えていく】

以上のメリットとデメリットを踏まえて、じゃあメモの取り方についての私なりの方法論はこれです。

  • メモを取ることに慣れていない人は、まず書く量は最小限にして、聞いた内容を理解することに集中する。
  • 聞いた内容を即座に頭の中でまとめることができるようになったら、メモとして書く量を徐々に増やしていく。

この2点がしっくりきます。

先ほど述べたメリット・デメリットを考えると、記憶の補完としてメモを取っておくことは捨てがたいし、かといって講義の最中の理解度を下げるわけにもいかない。まさにジレンマです。

ですので、目指すべきところはまずは簡単なところからスタートして、脳のマルチタスク能力を徐々に向上させていくことでしょう。「聞く」と「書く」を同時に進行できるように脳を鍛えるということです。具体的には脳内の神経回路の接続量を増やすように、働きかけるのです。

 

【マルチタスクの有用性】

ここまで書いたところで、最新の情報に敏感なあなたは気づいたかもしれません。「ん?マルチタスク?それって実は生産性を下げるんじゃあ・・・」

まさにその通りです。最近の研究ではマルチタスクによって全く無関係の作業を同時進行で進めると、作業効率が低下するという研究結果が出ています。(注:音楽を聴きながら、という場合は除きます)

 

「マルチタスク」は本当に悪いのか、科学的に解明してみた : ライフハッカー[日本版]

 

なんだ、じゃあ授業中に話を聞きながらメモを取るのはマルチタスクで、メリットデメリットを論ずる以前の問題ではないか。よってこの記事は撤収!

 

・・・としてしまって、せっかくここまで頭をひねった仕事量を無駄に無かったことにするのはいささか気が引けたので、もう少し粘って情報を探してみました。するとどうでしょう、どんなところにも救いはあると言わんばかりに起死回生の一手が出てきたではありませんか。

 
「マルチタスク習慣」は日常生活にどう影響するか : ライフハッカー[日本版]

 

リンク先から引用します。

マルチタスクに関する実験の多くは、互いに無関係なタスクを組み合わせて被験者に行わせています。そのため、注意を多方面に向けると、パフォーマンスに悪影響が出ます。ところがこの研究では、視覚と聴覚からそれぞれ入ってくる情報の流れが互いを補足し合っているので、注意の拡散が役に立つのです。

2つの異なる情報の流れが互いを補足し合う関係になるのは、もともとそのようにつくられている場合だけ。例えば、「同じ映画の音声」と「映像」のようなケースです。こうしたケースでは、2つの情報の流れが同時に噛み合えば、ミスを犯しにくくなります。

 

つまり、複数のタスクに関連性があってそれらが互いを補足するものであれば、マルチタスクの弊害である生産性の低下は起こりにくい、ということが言えるのではないでしょうか。ここで改めて、学校の授業や講義にて発生するタスクをもう一度見つめ直してみましょう。

  • 講師の話を「聞く」
  • スライドや教科書を「読む」
  • 内容をノートに「書く」

これらのタスクは互いに、「講義の内容を捉える」という目的の上で関連性を持っていて、互いに「内容を理解する」という部分を補足しあっていると考えてみます。すると、授業や講義でのこれらのマルチタスクの組み合わせは、そうそう悪いものではないのではないでしょうか。

 

【授業や講義では、マルチタスクはトレーニング次第で使えるスキルとなる?】

さてさて、では長くなってしまいましたので、簡単にまとめてみましょう。

  • メモを取る、という行為は記憶を助けるというメリットと理解を妨げるというデメリットを含んでいる。
  • メモを取る、話を聞くといった講義を受ける際に発生するタスクをマルチタスクとして捉え、記録と理解の両方を得ることができるように、普段から同時並行してトレーニングしていく。
  • どのタスクも関連性を持っていて、互いに講義内容を捉えるという点で互いに補足しあっている。

 

これらを踏まえて、今後のメモを取るという行為は、話を聞いて理解するという部分にも重点を置きつつ行い、脳をトレーニングしていこうと思います。

 

よくよく考えたら、サッカーもマルチタスクを含んでいますよね。ピッチを走りながら、頭で考え判断し、技術を発揮し、さらに味方にコーチングまでするという。やはり、互いが関連性を持っている状況では、マルチタスクで同時並行して行うことは重要なスキルなんじゃないかなと思います。サッカーとマルチタスクの関係を考えてみるのも、なんだかおもしろそうですね。

 

とはいえこれは脳の中身のことですので、きっとまだまだこれから明らかになっていくことだと思います。これで結論を出した気にならず、しっかりアンテナを張って情報をキャッチしていかないといけませんね。

 

 

Yasu


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