【計画→実践→評価→改善】ユース年代からの学習プロセス習得は重要

2017年5月4日

子ども 読書

昨日、FCユトレヒトのU12チームでのワークショップが開かれました。

なかなか面白い内容だったので、覚えている内に書いていきたいと思います。

今回のワークショップのテーマは「Mentale Lijn」。直訳すると、「心の方針」といったところでしょうか。内容は「学習プロセス」について。外部から講師の方をお呼びし、次の3つについて主に話してもらいました。

  1. Zelfreflectie
  2. Zelfregulatie
  3. Feedback

 

ひとつずつ見ていきます。

 

自分を振り返る 【Zelfreflectie】で自分のことをもっと知る

【Zelfreflecitie】とは「自己内省」のことです。自分で自分の行動を振り返ってみるということですね。まず、子供達には次のような質問が書かれた紙が配られました。

  1. 試合中、自分はハードワークをしている
  2. 試合中、自分は攻守の切り替えが速い
  3. 試合中、自分は自分の感情をコントロールできている
  4. 試合中、私は自分の100%を出している
  5. チームの結果の方が、個人の結果よりも大事だ
  6. チームという環境がいいものであるように努力している
  7. ロッカールーム(試合前やハーフタイム)ではいつも自分の考えを持っている
  8. 自分のパスは味方に届いている

 

という8項目の質問を、自分と自分以外の2名のチームメイトについて5段階評価で当てはまるかどうかを評価してもらいます。あとで手元には自分が書いたものと、チームメイトが書いた自分の評価が手元に届きます。まずは自分を評価し、周りがどう思っているかと照らし合わせる、ということですね。

 

学習プロセス【Zelfregulatie】で意識的に効率のよい学習を手に入れる

【Zelfregulatie】とは学習プロセスを指します。自身の思考、計画、観察、評価、反省のサイクルについて常に意識的であり、またそれについて必要な知識を持っており、内的動機付けによって事前に計画して行動するということが盛り込まれた学習プロセスです。

いわゆるPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルとその性質は同じで、スポーツ選手であれば練習内容を計画、実行、試合での評価、反省・トレーニング内容の見直しを繰り返し行っていきます。

このZelfregulatieを実現させるために行うべきTo Doは以下の通りです。自主トレーニングを例に書いていきます。

  1. どのようなスキルを磨きたいか、現実的なセルフイメージを持つ
  2. そのセルフイメージを監督やチームメイトに評価してもらう
  3. プロチームの行動として相応しいかどうか、他のプロクラブとも比較する
  4. トレーニング環境を自分で作る
  5. 自分に責任を持ち、言い訳を作らない
  6. 計画、実行、観察、評価、反省サイクルを作成する
  7. そのトレーニングを行う理由を自分の中に作る(内的動機付け)
  8. 実践する

 

自他からの評価【Feedback】でより良いプランを導き出す

Feedbackとは、自身の考えや行動に対して、自分自身、もしくは他人からの評価をもらうことです。次の行動をより良いものにするために必要なステップです。

このフィードバックはポジティブなものだけでなく、ネガティブなものもあります。ネガティブな内容もきちんと相手に届けるために、自分以外の相手にフィードバックを行う時にはきちんとしたルールがあります。

  1. 「私だったら~」という自分を主体にした例で話す
  2. 具体的な行動や振る舞いに対して行う
  3. 振る舞いに対して指摘はしても、個性や資質、才能について言及してはいけない
  4. 短くまとめる

 

という4つです。ネガティブなフィードバックはともすれば悪口に捉えられかねないという性質もあります。こうしたルールを守って良好な関係を保ったまま、互いに相手の意見に耳を傾けられるようにする努力が必要ですね。

 

サッカーのトレーニングだけが育成ではない

さて、このように学習プロセスの自己管理の方法について述べてきました。これを12歳の子どもに教え、これから実践していこうというのですから、教育プログラムとしてはかなりしっかりしていると思います。

現在の日本のユースの教育ではどのようにしているのかはわかりませんが、このような自身の行動を振り返って次に繋げるサイクルをこなす、というのはサッカーに限らず仕事や勉強、日常生活においても効果的なことで、継続してできている人はそう多くないのではと思います。少なくとも私は大学に入るまではこのようなプロセスについては全くといっていいほど無知でした。

ユース年代からこれができるようになれば、少なくとも自分自身を深く省みることが出来れば、それは確実に本人の成長に繋がって行くことだと思います。ただ監督に与えられた練習をこなすだけよりも、何倍もの効果が見込まれると思います。ユース年代にはサッカー以外に人間的な成長も必要ですから、このプロセスを身に付けることには大きな意味があります

 

このワークショップの後、監督とマネージャーと私と講師の方で小一時間語ったのですが、やはりプロチームのユースにいる子ども達は賢い子が多いというのが全員の印象で、このワークショップの時間内にその理解度の高さを何度も垣間見ることとなりました。

講師の方曰く、オランダの教育ではもっと若い8~9歳くらいから、自身の行動を振り返る、ということを教え始めるそうです。もちろん無理のないように簡単なものからスタートしますが、こういったステップを踏んでより効果的に成長していこうという狙いがあるようです。

私が現在通っている理学療法の学校でも、同様のPDCAサイクルに則って自分の行動を振り返り、レポートとして提出するということがカリキュラムに盛り込まれています。

 

さて、日本での育成現場ではどうなのでしょうか?

この自分を振り返って改善策を導き出すという作業は、やる側としてはなかなか大変なことです。正直に自分を見つめるというのは、実は結構エネルギーがいるものです。できる限り具体的に振り返り、細部に至るまで具体的に次のプランを考え出さなくては効果は薄いですから、想像力をフル稼働させる必要があります

だからこそ、若い頃から自分を振り返るトレーニングをすることには意味があるのだなと思います。

このワークショップで学んだことを活かして、選手達がどのように成長していくのか、楽しみです。

 

 

Yasu

 


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