前十字靭帯損傷をビデオ分析した結果、最も多いのはこの3パターンだった

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photo credit: DANCE : NASTYRAY + 1NSPIRATIONISFREE via photopin (license)

 

膝前十字靭帯損傷。これはサッカー選手に起こりうる怪我の中で、最も重症なものの一つです。

Jリーグでも今シーズンすでに3~4例の受傷者が出ています。

復帰には最低でも6ヶ月は必要とされており、現実的には9か月でようやくトップフィットに戻るケースが多いとされているだけに、非常に避けたい怪我であると言えます。

今回はそんな前十字靭帯損傷の受傷シーンのビデオ映像を解析して、怪我の起こりやすかったシチュエーションを調査した文献をご紹介します。

 

<<怪我のパターン39例を調査>>

こちらの調査はUEFA、スウェーデン1部リーグ、ノルウェー1部リーグのそれぞれの傷害調査チームのビデオ映像を基に、2001年から2011年のシーズンの前十字靭帯損傷の発生シーンを分析したものです。

怪我自体は55例あり、そのうちこの調査に用いたのが39例でした。

実際の所は映像のアングルの数だとか解像度だとかでいろいろと制限があったようで、まだまだ今後の調査の精度を上げる必要があるとされていますが、起こりうる可能性の高いシチュエーションを知ることは重要だと思います。

 

<<3パターンでの身体の動きを分析>>

【プレッシング】

最も発生数が多かったのが【プレッシング動作】で、11例でした。

守備プレーヤーが相手のボール奪いに行く際、スピードに乗った状態でカット動作(方向転換)を行ったというシチュエーションが最も多い結果となりました。

更にカットの角度も計測されており、9例が30度から90度の角度で方向転換を行った際に受傷しています。

ボールを取りに行った脚ではなく、軸足として残った脚が前十字靭帯に負担のかかる膝の角度になっていることが多いようです。

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(Walden et al. 2015)

 

【キック動作後の着地】

次に多かったのが【キック動作によって崩れたバランスを再獲得】した際に受傷というシーンで、5例でした。

ボールをクリアするキック動作後が多く、その際に大きくバランスが崩れ、そのまま着地した方の膝が受傷しています。

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(Walden et al. 2015)

 

【ヘディング後の着地】

さらに5例と多かったのが【ヘディング後の着地動作】です。

これも先ほどの2動作と同様に、片脚で着地した際に膝に負担のかかる姿勢となっていました。

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(Walden et al. 2015)

 

<<まとめ>>

この調査結果から、過去の前十字靭帯損傷においては【プレッシング動作】【キック動作後のバランスの再獲得】【ヘディング後の着地動作】が最も受傷する可能性の高いシチュエーションだったことが分かりました。

 

ちなみに今回の文献は次のものです。以下のリンクからダウンロードできます。

考察もいろいろなされているので、読んでみると面白いかと思います。

 

Walden, M., Krosshaug, T., Bjørneboe, J., Andersen, T, E., Faul, O. & Hägglund, M. (2015).

Three distinct mechanisms predominate in non-contact anterior cruciate ligament injuries in male professional football players: a systematic video analysis of 39 cases

Br J Sports Med.

Three distinct mechanisms predominate in non-contact anterior cruciate ligament injuries in male professional football players: a systematic video analysis of 39 cases — Waldén et al. — British Journal of Sports Medicine

 

さて、大事なのはこの分析結果をどう生かすか、ということです。

分析の精度はいったん、横に置いときましょう。

受傷した時点でのプレー時間等は調査されていませんし、実際の所は疲労等まだまだ考慮すべき点は多いです。

それでも、スピードに乗った状態からの方向転換と、バランスを崩した状態からの着地動作という最も多かったシチュエーションには、注目すべきだと思います。

少なくとも、試合で注意してみるポイント、その後の評価の際の仮説立てには少なからず役に立つかなと思います。

またリハビリでも、よりコーディネーションやスタビリティにを念頭に置いてプログラムを組むことも考えないといけないですね。

まだまだ勉強です。

 

 

Yasu


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