筋トレによって筋肉が太くなるのは、結構あとの話。最初のレベルアップは筋肉の使い方

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photo credit: TerryGeorge. Adam Bacon NFM via photopin (license)

 

今日アムステルダムの広場を歩いていたら、ゴリラの着ぐるみを着た人に会いました。他にも何やら仮装した人がちらほら観光客を前にパフォーマンスをしていました。その背中からは「ハロウィン?そんなの俺にとっては日常さ」なんて声が聞こえてきそうでしたこんにちはYasu@yasuhiradeです。

今日はみんな大好き筋トレのお話です。

最近では様々なトレーニングが巷で溢れかえっていますし、一昔前よりも「筋トレ」という言葉が身近になってきたのではないでしょうか。

筋力トレーニングをやったことがある人はわかるかと思いますが、ある程度継続してトレーニングすることで、最初よりも楽にトレーニングできるようになったり、より高い負荷のトレーニングができるようになったりということを経験したりします。

筋力トレーニングに限っていえば、それはまさしくトレーニングによってより大きな力が出せるようになったということに他ならないのですが、実際に筋肉の中では何が起こっているのでしょうか。今日はそこに迫ってみます。

 

≪筋力トレーニングによる成長曲線≫

まずはこちらの図をご覧ください。

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オランダ語で申し訳ないのですが、縦軸が筋力の向上、横軸がトレーニングを始めてからの時間(週)を表しています。

曲線は上から【筋力】、【筋肉間の協調性】、【筋肉内の協調性】、【筋肥大】です。

これを見ると、トレーニングを始めて何週目でどの要素が向上しているのかが一目でわかりますね。

 

≪用語のおさらい≫

まずは曲線の定義から押さえておきましょう。

【筋力】はそのまま、発揮できる筋力のことです。

【筋肉間の協調性】とは、複数の筋肉が目的の動作のために協力するということです。具体的にいきましょう。写真のように、二の腕に力こぶを作ってみてください。

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photo credit: 2014uknz+ Bulging biceps via photopin (license)

 

筋肉には主動筋と拮抗筋というものがあるのですが、このように「肘が曲がる」という動作が行われた時に、力こぶができた側の筋肉(上腕二頭筋)が主動筋です。骨をはさんで反対側の筋肉(上腕三頭筋)が拮抗筋です。筋肉には面白い仕組みがあって、主動筋が働く時は必ず拮抗筋は緩む、という性質を持っています。想像してみてください。表と裏の筋肉が同時に力が入ってカチコチになったら、肘は曲がりませんよね。「肘を曲げる」という目的の動作のために、主動筋には力が入り、拮抗筋からは力が抜けて緩む、という協力が行われているということです。これが【筋肉間の協調性】の一例です。

【筋肉内の協調性】とは、ある個別の筋肉の中の筋線維がちゃんと同じタイミングで動いているのか、ということです。筋線維とは、筋肉を構成する繊維のことですが、例えば100本の筋線維があったとします。脳から「力を入れろ!」と指令が来た時に60本しかちゃんと動かず、40本がサボっていたら、100%の力は出せません。逆に100本がすべて同じタイミングで働けば、その筋肉をフルで使えていることになり、とても効率よく使えていると言えます。これが【筋肉内の協調性】です。

眠くなってきましたか?次で最後です。

【筋肥大】とはざっくり言うと、筋肉が大きくなることです。大きな筋肉は大きな力を発揮することができます。これは非常にシンプルですね。むしろ筋トレイコール筋肥大、というイメージが強い人のほうが多いのではないでしょうか。

 

≪さあ、グラフを読み解こう≫

ではいよいよ、グラフに何が書いてあるのか見ていきましょう。

再び!

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最初の6週目までは、一段目と二段目の曲線が重なって伸びていますね。つまり最初の6週の間の筋力の向上は、そのまんま【筋肉間の協調性】の向上だということです。この間に重たいダンベルが上がるようになっても、筋肉は太くなってませんよ、ということです。

余談ですが、このような筋肉間の協調性、いわゆる【コーディネーション】は理学療法におけるリハビリでのとても重要なファクターです。患者さんや選手の抱えている問題がコーディネーションにあった場合、「治療にかかる時間はだいたい6週くらいですね」という見通しをたてて話をすることがあります。それは、こういった背景があるからだったりします。

話を戻しましょう。

6週が過ぎたころ、伸びてくる曲線がありますね。【筋肉内の協調性】です。逆に【筋肉間の協調性】はなんだか頭打ちになっていますね。ということで6週目以降の筋力の向上に関与するのは【筋肉内の協調性】、つまり筋線維に脳からの信号がちゃんと届いてタイミングよく動いたり緩んだりしているかがレベルアップしていく、ということです。

そして8週目ごろからじわりじわりと伸びているのが【筋肥大】です。ここでようやく筋肉そのものの大きさが変化するようになってきたということです。筋肉を太くしたかったら最低でも8週はやらないと変化は望めませんよ、ということですね。

 

≪まとめ≫

つまりなにが言いたいかというと、筋力トレーニングで鍛えているのは筋肉の太さだけではなくて、個々の筋肉や筋肉同士を上手に使うということを鍛えているのです。

筋力がどのようにアップしていくのかを見て明らかなように、筋力の向上の大半は、少なくとも8週目までは筋肉におけるコーディネーション、つまり使い方の向上だったということです。コーディネーションが大事ということは、筋力トレーニングにおいては体の使い方が大事ということになり、それすなわちトレーニング中に気を付けるべきことはずばり【フォーム】である、というところに行き着くわけです。

逆に例えばこのグラフのようなコーディネーションが伸びている最初の8週の時期に、フォームを無視して筋肉の力そのものを意識してトレーニングしても効果は半減、ということになります。きれいなフォームでいろいろな筋肉を強調させて動かせているかが大事なのです。

ということで筋トレの際は、くれぐれもフォームに気を配ったトレーニングを心がけてみてください。鏡を見てフォームチェックとか、意外と馬鹿にできないですよ。

 

Yasu

 

 

参考文献(グラフ引用):Frans Bosch. (2015). Krachttraining en coordinatie, een integratieve benadering. 2010 uitgevers, Rotterdam.


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