現在の監督と接していて、メディカルスタッフとして感じたこと

リーダー

2週間ほど前になりますが、現在リーグ2位のFCユトレヒトU12は公式戦にて、首位のチームとの直接対決がありました。

勝ち点差は4ということで、この試合に勝ったとしてもまだ若干の差は残りますが、リーグ優勝のためにはなんとしても勝たなければならない一戦でした。

試合への臨み方として、試合前のロッカールームの様子は少し異様でした。いつもと変わらず陽気に話をしている子がいるかと思えば、普段よりも少し表情がこわばっていたり、ちょっとの身体の違和感でも相談して来る子がいたり、本当にさまざまで、言い方を変えると、全体の気持ちがバラバラでした。

 

ここ一番での試合への入り方

そんな中、試合前のロッカールームでは最後のミーティングが行われました。そして基本的な戦術や約束事の話が終わった後、監督の語気が強まりました。

内容はこんな感じです。

「今日までのトレーニングはこの日のためにやってきた。」

「お前たちはFCユトレヒトの選手だ。そのプライドを持って闘え。」

「相手は一歳上だが関係ない。お前達はプロクラブの選手で、お前たちはテクニックがあり、賢くプレーすることが出来る。」

「お前たちの目標は何だ?あのスタジアムのピッチに立つことだ。」

「お前たちもそうだが、監督も、スタッフも、全員がベストを尽くしている。」

「行ってこい。そして勝ってこい。」

非常に強い語気でしたが、ゆっくりと少しずつ、選手たちの心に語りかけるような監督の言葉でした。そしてその言葉が綴られるにつれて、少しずつロッカールームの空気が引き締まって行くのが感じられました。

最後の「勝ってこい」の言葉の後、選手たちはいつも「Kom op !」という気合いを入れる言葉を叫びながらロッカールームを出て行くのですが、その一体感は普段の試合とは別物でした。

 

規律を重んじ、甘やかさない監督

現在のチームの監督は、私が初めてユトレヒトで研修をスタートした時のチームのアシスタントコーチで、コーチングライセンスの取得中でした。その当時、一度だけ彼のコーチングで試合を行ったことがあるのですが、普段は穏やかで冗談を好む性格なのですが、とても厳しい態度を持って選手に接していたのを憶えています。

彼は、オランダ人としては割と珍しい部類に入ると思うのですが、子どもだからと言って安易に甘やかそうとはしません。周りの保護者やマネージャーは現在のチームが11歳の子どもの集団だということで、「子どものやることだから」という考えから入ります。しかし、彼は「もうこいつらは子どもじゃない。自分たちで物事を考えなければならない年齢だ。そして、ユトレヒトの選手だ」といって厳しい目線から入ることが多いです。何度注意してもチームとしてのまとまりを乱す選手には懲罰として練習禁止・かつベンチ外にしたこともあります。

その厳しさがある一方で、選手のコンディショニングには人一倍気を遣う人で、何かあるとすぐ「Yasu、○○はあんな動きをしているが、問題ないか?」と聞いてきたり、チーム立ち上げ当初怪我人が多かった時期は「トレーニングでの負荷調整はこうやってるんだが、どうすればいいと思う?」など本当に選手のコンディショニングについて理解のある人です。そして決して油断せず細かな点にまで気を配っている人です。

私としても頼ってもらえるのはとてもありがたいですし、時には厳しい意見もぶつけてくれるので、いつも気が引き締まります。U-12のチームでは上のカテゴリほど怪我は起きませんが、こうして監督と選手についてコミュニケーションを多く取れることはとても私の成長につながると感じています。どのようにスタッフと連携をとっていけばいいのか、この監督と接することで見えてきた部分は多いです。

 

優勝に向けて、スタッフとして

スタッフとして、監督と接するときに大事なことは、もちろん与えられた仕事をきちんとこなすことです。ですがそれと同様に、いかに監督が監督としての仕事に集中できる環境を作るか、ということも大事なような気がします。メディカルスタッフで言えば、選手が使えるのか使えないのか、どの程度だったら大丈夫なのか、シンプルにかつ明確に状況を説明して監督が試合に臨むための情報整理をしやすくすることや、ウォーミングアップやピッチ外の部分で選手のサポートを確実に行い、監督に余計な気を遣わせないことも大事だと思います。

監督は他のスタッフには想像もつかないようなプレッシャーを背負って試合に臨んでいると思います。トップレベルのプロの世界なら簡単にクビが飛んでしまう職業です。それでも毅然とチームを率いる姿勢に、リスペクトは忘れずにいたいと思います。

結局この試合は見事4-0で勝利し、勝ち点差は1へと迫りました。この勢いでリーグ優勝、昇格を実現させて、今の監督にはいい思いをしてもらいたいなと思います。そのためにも、自分はベストを尽くし、彼が監督としての仕事でベストなパフォーマンスが出せるよう、スタッフとして支えていきたいですね。

 

 

Yasu


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