選手の動作の原因を特定できなかった時、次の一手をどう考えるか?

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昨日もFCユトレヒトU12は公式戦がありました。

立ち上がりからなぜかボールが落ち着きませんでしたが、ハーフタイムで監督の雷が落ちてようやく普段通りのプレーを取り戻し、結果は3-0で勝利となりました。

この日はその試合に臨む際のスタメン構成で、普段とちょっと違ったことが起こりました。

 

【普段と違う選手起用の理由は、、、】

普段、スタメンで3トップの右を任せられることの多い選手が、この日は珍しくベンチスタートでした。前回の練習中に怪我でもしたのかな?と思いましたが、常駐のフィジオセラピストからの連絡ノートには怪我の記載は無し。不思議に思って監督に話を聞いてみると、こんな理由でした。

 

監督「前回の練習中、彼の歩き方でよく”Mank gaan(足を引きずって歩く)”が起こっていたんだ。」

私「なるほど。痛みがあったのかもね。フィジオには見せたの?」

監督「見せたけど、問題ないと言われた。本人も痛みはないと言っている。」

私「じゃあ問題ないんじゃないかな?」

監督「いや、しかしMankは間違いないく起きている。何か問題があるはずだ。ウォーミングアップはみんなと一緒にやらせるが、それに加えて試合中でいいから彼のアップを個別でチェックしてくれ。」

 

ということでした。実はこの選手、ちょっと前に膝に痛みを感じ足を引きずる動作が見られたため、フィジオにチェックしてもらったことがあるのですが、その時は問題ないと判断されていました。それから何度か同様の動作が見られるということが起こっていたため、監督はかなり気になっている様子でした。私は正直なところ、何度か彼の膝やそれ以外の部分をチェックしたことがあるので、監督の選手を心配する気持ちはわかりますが、このMank gaanは怪我の類が問題ではないのではないか、となんとなく感じていました。

 

【やはり問題なかったアップと試合中のパフォーマンス】

結局、後半にはいって彼を使うことになったので、その前に個別で筋力や走り方の最終チェックを行いました。股関節、膝や足首周囲の筋力評価では疼痛はなし。さらに患側での片足フルジャンプなどもさせましたが痛みはなし。10mダッシュも異常な様子は見られず。ということでGoサインを出しました。

試合中特に注意して彼のプレーを見ていましたが、元気に走り回っていて、やはり問題となる部分は見当たりませんでした。

 

【どのようなアプローチが必要か?】

とにかく彼はこの日の試合では問題なくプレーできた、それは良かったのですが、話をここで終わらせるわけには行きません。実際に監督やアシスタントコーチは練習中で足を引きずる動作を目にしており、それが一回や二回ではないことから、かなり心配をしています。選手本人は、そんな歩き方をした覚えはないらしく、困惑している様子でした。

しかしまだ現時点では、歩き方に関して自覚していて黙っているのか、本当に自覚症状がないのか、判断しかねる部分があります。

今後、まず必要になってくるのは、練習中にMankが出た直前の動作を知ることです。監督やコーチには普段の練習で直前に何か起こらなかったか、注意して見てもらえるようにお願いしておきました。それで怪我に関連する問題があればある程度特定できるような気がします。

また、この日の試合には予定がなくて暇をしていた(笑)フィジカルコーチの研修生も見に来ており、彼も選手の動きに問題点は感じなかったと言っていましたが、筋力の微妙な左右差、コーディネーションや癖といった問題があるのではないか、といういくつかの仮説を出してくれました。この辺も頭に入れておく必要がありそうです。

井戸端会議の結果、試合では問題なかったのだから、今後の対応は次に問題のある動作が出た時の様子を見て決めよう、ということになりました。選手ともしっかり話して、痛みがあるときは我慢し過ぎないことも伝えました。

 

【いろいろな可能性を考える】

私は普段理学療法の手技を用いて原因の究明に取り組みますが、今回の件は、それで問題が特定できなかった時にどうすべきかを考えるいいきっかけになると感じています。

今回の出来事について、選手の身体の部分もありますが、選手とのコミュニケーションや教育的な部分に問題がなかったか、もう一度見つめ直す必要があると感じました。監督やフィジオに正直に話すことをためらっている可能性はないか、少し根気強く対応していかなければなりません。オランダ人の子ども達は基本的に正直な子が多いので、痛みや何か相談事があるとすぐ話してくれるのですが、その先入観は一回外して、彼の様子を観察していこうと思います。

また、監督やコーチが過敏になりすぎている可能性も否定できません。実際にパフォーマンスに問題が無かったことを踏まえて、異常なことではないと時間をかけて説明する必要もあるかもしれません。

もちろん、コーディネーションなどの身体的な部分も否定できませんよね。

私も普段はトレーニングの時間に見にいけないことが多いのですが、少し時間を作って実際に彼のプレーを見る時間を増やしていこうと思っています。

 

 

Yasu


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