選手の身体を触る時に、私が気をつけていること

触診

このメディカルスタッフという活動をしていると、必ずと言っていいほど選手の身体に触ります。触ってみて初めて分かることがある、というのはもはやこの手の仕事をしている人にとっては当たり前になっていることです。

そんな患部の状態を触って調べることを【触診】と言います。

この触診をする際に、私が気を付けていることがいくつかあります。実際はもっとたくさんありますが、今回はその中から厳選して紹介します。

 

【1.最初の声掛け】

選手にとって、痛みのある場所というのは非常にデリケートな部分です。それはそうですよね、痛いんですから。私たち専門家にとって、触って調べることは常識でも、普通の人にとってはそうではありません。相談しに行った結果、いきなり患部を触られるなんて思ってもみない人だっています。診断の手順なんてわからないもんです。そんな時に、一言「ちょっと触ってみますね」があるだけで、選手は心の準備が出来て余計な力が抜けます。なので最初は【声掛け】が大事です。

 

【2.力加減・リズム】

触診に慣れていない人にありがちな問題点として、【力の入れ方・リズム】があります。どの程度押したら痛がるか、これくらい押して痛がりそうだったらこの程度の損傷度、ということは経験値として知っておくべきですね。もちろんほんとに痛がるまで押してはいけません。選手の顔を見ながらちょうどいい程度を探します。こういった点では、オランダ人は全く我慢しないので、痛みや考えていることが顔に出て判断しやすいです。日本人は良くも悪くもこういう時に我慢しがちなので、注意が必要ですね。

また、触るスピードが早すぎると選手にとってストレスで力がはいって判断しにくくなります。また、一回一回指を離すと筋や靭帯の走行を捉えづらくなって正確性に欠けます。

 

【3.親指より人差し指】

私は触りにくい靭帯や筋肉を触診する際は、【親指より人差し指】を使うようにしています。親指は指の腹側に動脈が走っているのですが、人差し指は腹側ではなく横側に走っています。触診で親指を使ったときに少し指に圧力がかかると、若干ですが拍動が感じられて微妙な組織の違いが捉えづらいのです。繊細な感覚が必要な部位や患部では、特に気を付けています。

 

【4.触るのは最小限で】

あと大事なのが、触診という評価をできるだけ早く済ませることです。先ほども書きましたが、患部を触られていることは決して良いものではありません。どちらかというとストレスです。またスピードが速すぎると正確性にも問題があります。必要最小限かつ正確に、という感じを大事にしています。これを実現させるためにも、選手に何か相談を持ち掛けられた時に、できる限り話をして情報を集めます。ベンチに向かって、もしくはロッカールームに向かって歩いているわずかな時間も無駄にはできません。これによって問題のある部位におおよその仮説を立てて、評価を素早く済ませます。

 

【触るからこそ、分かることがある】

触診によって患部の異常はもちろん、選手がどの程度痛がっているのか、他にも痛みのある部分はないか、などなど見た目や話だけではわからないたくさんの情報が明らかになります。選手も話を聞いてもらうだけでなく、触診して手間をかけてもらったほうが真剣に評価してもらっている感じがして安心感が得られると思います。信頼関係を深めるためにも、大事にしたい技術ですね。

 

Yasu


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