分かっているようで難しい「シンプル」に伝えるということ

アインシュタイン

先日、学校の授業のスライドにこんな一文が出てきました。

“If you can’t explain it simply, you don’t understand it well enough.”

これを言ったのはそう、物理学者アインシュタイン(Albert Einstein, 1879-1955)です。

これは理学療法におけるケーススタディの意義について扱った授業で出てきたのですが、なるほど、これはいろんな場面で当てはまると感じました。

日本語に訳すとこんな感じでしょうか。

「もし物事をシンプルに説明することができなければ、あなたはそれを十分に理解していないということになる」

となります。このシンプルというのは、単純に言葉の数が少ないということでは無いと思います。

別の言葉でアインシュタインは「しかし、シンプルすぎてはいけない」とも言っていますので。

わかりやすい言葉を使って、かつ適度な量で説明する=シンプルということでしょう。

 

自分が接するのは、専門家だけではない

私はよくサッカーの現場で選手のコンディションや怪我、ケアの仕方について話をしなければいけない時があります。

それは選手本人だったり、監督・コーチだったり、選手の親だったりします。

これまでのケースで、サッカーの現場で、メディカルな内容を話す相手が自分のようにメディカルの専門家だったことは3割にも満たないでしょう。

もちろん、クラブの内外でメディカルスタッフ間で情報交換をすることはありますが、それ以外の場面のほうが圧倒的に多いのです。

そんな相手に対して、「関節可動域が~」「固有感覚受容器が~」「瘢痕期が~」なんて専門用語をバンバン使ったところで、相手の頭にはハテナしか浮かんでこないことは目に見えています。

なぜ話をするのかというと、選手や監督が選手のコンディションをよく理解して、育成という面だったり選手のキャリア、チームの成績という面でより良い結果を求めて行動できるようにするためです。

そのためには、相手に理解してもらうことが何よりも重要で、ただ説明責任を果たすためだけにつらつらと事実を述べるというのは、仕事をしているようで仕事をしていないのと同じなのです。

 

さらに難しいのが「子ども」と接するとき

相手がある程度大人になった選手であれば、これまでいろいろ同様の話を聞いてきたでしょうから、理解は早いかもしれません。

ですがユースの選手だとどうでしょう。

理解も経験も大人に及ばない選手に対して、如何にシンプルに説明して、状況をより良い方向に持っていくことができるかは、メディカルの人間の能力が問われているといっても過言ではありません。

これは専門書の知識や治療技術だけでは成し得ないことです。

もちろんメディカルの人間のみならず、指導者、審判でも同様に「伝える力」について問われるのは子どもと接する場面でしょう。

なぜそれを伝えるのか、ということが内容も含めてしっかりと自分の中で整理されていなければ、相手に伝わるように話すのは容易ではないです。

一方で子育てをされた経験のある方は、これが上手いのではないかと個人的には思っています。

躾という場面で「なぜ」をシンプルにわかりやすく伝えることを日常的に行われているからです。

私はまだ「親」という立場ではありませんが、指導の現場を通して、まだ物事の善し悪しがわからない、集団での規律やルールというものにほとんど触れたことのない子ども達と接しています。

そんな子ども達にどのようにルールを教えて、それを守るということを伝えるかというのは、特に苦心しているところです。

激しい口調で言葉だけをぶつけることは簡単で、それによって子どもの行動を強引にコントロールすることはおそらく出来なくはないでしょう。

しかしそれで子ども達に必要なものが身に付くかというと、・・・です。

たとえ強い口調でも、子どもに伝わるように伝えなければ、すなわちシンプルにわかりやすく「なぜ」を伝えることができなければ、指導とは言えないと思います。

 

積極的に専門家以外と話す

私は自分がより一層メディカルスタッフとして成長していくために、なるべく「メディカルの専門家以外」の人と話す機会を多く持つようにしています。

子ども達への指導の現場に関わっているのはそのためでもあります。

そこで子ども達自身や保護者の方、他のコーチと話をすることで、自分の中の専門知識をかみ砕いて伝えるトレーニングの場としています。

専門用語を使わずに最適な用語がスッと出てこない時もあり、正直まだまだですね。

今回ご紹介した一文に出会って、改めてこれを継続すれば成長できるはず、と思えました。

成長のヒントはどこにでも転がっているものですね。

 

 

Yasu


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