純粋な技術は脊髄反射レベルまで昇華すべき

skill

サッカーの試合前やハーフタイムのロッカールームは時に戦場です。

監督や選手にとってそうであることはもちろん、時には私にとっても当てはまります。

そしてその場合に限ってはメディカルスタッフである自分がチームで最も活発で神経が張りつめているような気がします。

試合前には選手によっては状態をチェックして出場可能かを判断する必要があります。

ほかにも多くの選手が何かしら身体について尋ねてきたり、すね当てがズレるからテーピングで留めてくれと言って来たり(当然追い返します 笑)、日本語教えてくれと言って来たり(今必要か?)、とにかくやることが多く、一人にかけられる時間はそう多くありません。

最初に人数を確認して、どうしても回りそうに無い時はトリアージして重要度の高いものから対処します。

このような時、またそうではなくても、怪我をした人や身体に不調を抱えている人を診る時に私が大事にしているのは、「技術そのものの精度」です。

 

理論立てた判断は必要。しかも高速で

オランダの理学療法の世界ではクリニカルリーズニング(論理的思考及び解決)が一般的です。

「こうだから、こう」というように、エビデンスをもとに理論立てて診断や治療判断を下します。

サッカーの現場でも、クリニカルリーズニングは大事です。

エビデンスといったものが無い部分に関しては、理学療法士やチームの帯同のトレーナーの”Art”に委ねられます。(エビデンスとArtに関しては長くなりますのでまた別の記事で)

とにかく選手の状況を聞いて、見て、触って、頭の中の情報と照らし合わせて処置をしなければいけません。

しかも時間は有限です。

じっくり手当たり次第検査して評価して、というわけにはいきません。

試合中に発生した怪我や、ハーフタイム中に痛みを訴えてきた選手に対しては特にそうです。

目の前の状態を評価するのに適切な検査技術は何で、どのように検査を行って、その結果を得てどう判断するのか、という各判断の部分はまさにコンマ何秒の思考時間が要求されます。

じっくり考えている余裕もないことが多いです。

 

技術そのものだけでも迷いなくスピーディーに

そうはいっても最終判断には時間がかかることもあるでしょう。

この選手はこのままプレーさせていいものか、テーピングすればできるのか、それとも休ませるべきか、そして監督に伝えるべき情報は何か。

そしてそういった判断をするのに切羽詰まった状況は望ましくありません。

それがハーフタイムのような短い時間帯であっても、焦ってコンマ何秒で判断するよりかは、10秒くらい思考時間が欲しいものです。

その時間を作り出すために必要なのが、【純粋な技術の精度】です。

ここで言う純粋な技術とは、検査評価の技術であったり、テーピングや筋のリリースなど処置スキルであったりします。

精度とは正確性とスピードです。

そこで「えーっと、ここをこうして…」なんて思い出しながらやっていたら時間がいくらあっても足りません。

この検査をやると決めたら淀みなく、この処置をすると決めたら手際良くやる必要があります。

すなわち、技術に関しては【自動化】する必要があるのです。

そうすれば技術を実行している間に頭の中で考えることもできますし、評価後の思考・判断にまわせる時間が少しでも増えます。

 

やった分だけ、身になる

この技術の自動化は、実践して身体に染み込ませた分に比例して、現場で発揮する事ができます。

身に付けるにはとにかく反復です。

自分の姿勢、相手の姿勢、正常なエンドフィールや得られる結果など、やり込んで身体に染み込ませることは可能です。

クリニカルリーズニングも、頭の中にその論理的思考の回路を常日頃から構築しておく必要があり、訓練である程度はどうにかなりますが、技能のほうがシンプルです。

やり方が決まっているためです。

私は学校で、「この検査」と聞いたら脊髄反射レベルで身体が動くようにしろ、と言われたことがあります。

それくらい、やり込めということですね。

 

サッカーでも同じですよね。

やった分だけ、上手くなる。

ボールに触った分だけボール扱いは上手くなるし、判断するシチュエーションに触れた数だけ状況判断は良くなります。

そしてパスやトラップがミスすることなくスムーズに行えれば、考えるための時間とスペースが出来ます。

 

考える時間を少しでも作るために、技術は可能な限り高めておくことが必要なのは、サッカー選手もメディカルスタッフも似ているところがあるのかな、と思います。

 

 

Yasu


PAGE TOP