意外と身近な怪我、肉離れのリハビリの注意点

草サッカー

サッカーの中でも非常に頻発する怪我の一つに、「肉離れ」があります。サッカーのプレーレベルに関わらず、誰にでも起こりうる怪我ですし、特徴として「再発」というものがあるかなり厄介な怪我です。

今回はこの肉離れについて、簡単にですがご説明していきます。

 

肉離れの特徴

肉離れはその特徴として、加速時に発生することが多い、とされており、その他には

  • 二関節筋(二つの関節に関与している筋)に多く発生する
  • 伸張性収縮時(筋肉が伸ばされながら力を発揮している時)に多く発生する
  • 再発の危険性が高い

などがあります。

また、発生する原因として

  • ウォーミングアップ不足
  • 過去に損傷の経験がある
  • 筋肉に広範囲の瘢痕(筋肉の傷跡)がある
  • 筋肉への過度の負荷

が考えられます。

サッカーの現場でもこれまで多くの例を見てきましたが、単純に起こったケースだけ見ても、

  • 長い距離を走ってきてトップスピードに乗ったとき
  • ヒールキックなどの際に踵を地面に打ち付けたとき
  • インステップキックでボールを強く蹴ったとき
  • 止まっている状態から急に早い動作に移ったとき

など様々です。キック動作でさえ、起こりうる怪我なのです。このうち一つでも、程度こそ軽くても筋肉を痛めてしまった経験のある方は実は結構いらっしゃるんじゃないかと思います。

肉離れが発生してからは、もちろんリハビリによってスポーツ復帰は可能となるわけですが、その期間は損傷の程度によって様々です。早くて2週、長くて16週やそれ以上かかるといったケースもあります。長くなってしまう理由にはいろいろ考えられますが、スポーツ選手に多い理由として、復帰を急いでリハビリのペースを上げた結果、再受傷などして完全復帰までの期間が長引いてしまうということが挙げられると思います。肉離れは他の怪我と比較しても再発率が高く、順序を追ってリハビリしていかないと、とんでもないことになります。

 

まずは運動制限を取り除く

それではどのようにリハビリを行っていくのか、簡単にご説明します。

受傷後36~48時間(もしくはそれ以上)は急性期であるのでRICE処置が必要とされますが、この急性期が過ぎてからは少しずつ筋を伸ばしていきます。この伸ばす動作は理学療法士やトレーナーが行いますが、選手自身が拮抗筋を収縮するトレーニングを行うこともあります。これによって、筋肉が固まってしまうのを防ぎ、少しずつもとの状態に戻して、関節運動の制限を取り除いていきます。

※拮抗筋:機能が相反する筋肉のこと。例えば大腿直筋(太ももの前面の筋・膝を伸ばす機能がある)とハムストリングス(太ももの後面の筋・膝を曲げる機能がある)。その性質として、一方の筋肉を収縮させると、対応する筋肉は弛緩する。

 

次に筋肉の機能を取り戻す

筋肉の状態が戻ってきたら、次は筋肉の機能を取り戻します。筋肉の機能は基本的に筋力、筋持久力、速さ、柔軟性、コーディネーション(調整力)の5つで構成されています。このそれぞれの要素で足りない部分をトレーニングしていき、最終的には複合的な運動を行い、その運動そのものを評価していきます。その評価には、コーディネーションや敏捷性、加速などのスポーツ特性を含んだ動作についても行います。サッカーの場合は、ポジションによっても特性があります。長い距離を走る攻撃的なDFと、GKでは確認すべき動きにはもちろん違いがあります。そういった課題をクリアしてはじめて競技復帰することが望ましいです。

また、リハビリ中に再受傷してしまわないための基本原則があります。

  • 運動療法は小さいものから大きなものへ
  • 運動療法はゆっくりなものから速いものへ
  • 運動療法はOKCからCKCへ
  • 運動療法は局部的なものから機能的なものへ
  • 運動療法は目指す運動の行程全体に対して行う
  • 運動療法は簡単なものからより複雑なものへ
※OKC(Open Kinetic Chain 解放運動連鎖):肢体の遠位端が自由に動く運動。例:レッグエクステンション
CKC(Closed Kinetic Chain 閉鎖運動連鎖):肢体の遠位端が床などに固定され自由に動かない運動。例:スクワット
CKCの方がOKCよりも負荷が高い。

 

この原則は肉離れに限ったものではありません。他の怪我でも大事なのは少しずつステップを踏むことです。

単純に筋力だけで見ても、アイソメトリックな筋収縮できちんと筋の負荷許容量を確保してから、コンセントリック、エキセントリックな筋収縮へと移行していくことが重要となります。

 

焦らずに、最終確認

リハビリを進めていっていざ競技復帰も目の前、となった時には一点、注意が必要です。肉離れした場合によく起こりがちなのですが、損傷した筋肉を庇うようにして他の筋肉が普段以上に活動することで、特定のスポーツの動きを可能としている場合があるのです。同じような動きに見えても、身体の中では特定の筋肉に過度の負担がかかっているのです。例えばハムストリングスが肉離れを起こした場合、その筋肉をカバーするためにふくらはぎやおしりといった、近い働きをする筋肉に負担がかかっているということです。

そのためスポーツ復帰の際には、もちろんスポーツの動きができているという確認も必要ですが、きちんと筋力が戻っているかどうか、損傷した筋肉以外の筋に負荷がかかりすぎていないか、というチェックがとても重要です。復帰を急いでいる時ほど、この他の筋肉の代償が見落とされがちになり、結果として再受傷や他の部位の怪我に発展してしまいます。

 

じっくり直して、より長い競技生活を

非常に簡単にですが、肉離れのリハビリ過程についてご紹介しました。プロ選手に限らず、スポーツをされる方はきちんとリハビリをすることが重要な怪我であり、休んでいれば治る、といった簡単なものではないことだけでもわかっていただけたでしょうか?リハビリにはドクターや理学療法士、トレーナーといった専門家の協力が不可欠です。決して自分だけで直そうとせず、しっかりとリハビリに通ったり、アドバイスだけでも受けることが、復帰への近道になります。

また、最初に書いた原因の部分でも、気をつけるべきことはたくさんあります。何度も肉離れの経験があり、なんとなく怪我と復帰を繰り返して競技生活に支障をきたしている方は、予防やリハビリの際にもう少し踏み込んで取り組んでみてはいかがでしょう?

 

Yasu


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