ユース年代に起こりやすい怪我について

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2018年最初のブログになります。遅くなりましたが、明けましておめでとうございますYasu@yasuhiradeです。こんなのらりくらりやっているブログですが、今年もよろしくお願い致します。

 

さて新年一発目のブログはユース年代の傷害調査の文献をご紹介します。

こちらはフランスのプロクラブ対象に行われた研究ですね。

全文は、リンクを貼っておくのでそちらで読んでいただくとして、方法と結果、結論について中心にまとめていきます。

 

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Epidemiologic study of young soccer player’s injuries in U12 to U20.

 

方法

フランスのリーグアンに所属するクラブのアカデミー選手たちを対象に、この調査は行われました。研究に関わっている人たちの所属を見てみると、Association Sportive de Saint Etienneとあります。ASサンテティエンヌですね。

対象の選手はU12からU20。U12からU15をpretrainingグループ、U16からU20をtrainingグループに分けています。pretrainingが66名、trainingが71名。3年間追跡して調査を行いました。pretrainingは週に4-5回、1.5時間のトレーニングを平均138回207時間、加えて平均20試合を行いました。trainingは週に7-9回、1.5-2時間のトレーニングを平均して424時間254回、加えて平均27試合です。シーズン期間は42-46週です。

怪我の評価はクラブのphysiciansが行いました。毎回の試合やトレーニング後に、選手が主観的に何か異常を感じれば診察を行いました。さらに引き続き検査が必要な場合は大学病院にコンサルを依頼しています。すべての傷害はその重症度を離脱日数をもとに記録しています。重症度はminor, moderate, severeに分けられ、それぞれ離脱日数がminor:7日以内、moderate:7-28日、severe:28日以上としています。

怪我の情報は選手名、選手のカテゴリ、受傷日、受傷部位、患側とそれが利き手、利き足かどうか。さらに怪我の内容、受傷時の状況、接触か非接触か、復帰までの日数、重症度、選手のポジションです。

 

 

結果

1.試合時間当たりの傷害発生率

※試合時間はpretraining が368、trainingが477時間です。

U12,13:試合時間は2x30min. で9vs9

U14.15 :2x 40min. 11vs11

3シーズンで368時間の試合時間があり、70件の怪我が記録されました。1000時間あたりに換算すると、22.8/1000hです。

U16-20:2x 45min. 11vs11

3シーズンで477時間の試合時間があり、169件の怪我が発生しました。1000時間あたりに換算すると、31.5/1000hです。

 

2.トレーニング時間当たりの傷害発生率

pretraining: 2.1/1000h

training: 3.1/1000h

 

3.怪我は接触型か非接触型か

pretrainingにおいては、77.0%の怪我が非接触で、そのうち63.2%がトレーニング中に発生しています。その重症度の内訳は、minor:14%, moderate: 62.3%, major (表記が変わってますね(;^_^A おそらくsevere): 22.8%

接触型はminor: 26.5%, moderate: 38.8%, major:34.7%

trainingにおいては、34.4%が接触型、65.6%が非接触型です。非接触の4分の1が試合で発生しています。トータルで448件の傷害が発生しており、そのうち221件はトレーニング中に起こった非接触型の怪我です。非接触型の重症度で最も高いのはmoderate 46.2%で、それ以外はminor26.6%, major27.2%となっています。

 

4.怪我の重症度

trainingグループでもpretrainingグループでも、重症度で最も多いのはmoderate (離脱日数7-28日)でした。

 

5.患側と健側の割合

傷害が発生した側に、利き足、非利き足(および手)はほとんど違いがありませんでしたが、わずかに利き足側のほうが発生率が高かったようです。

 

6.受傷部位

pretraining:87.7%が下肢の傷害です。さらに内訳が大腿(23%)、股関節(19%)、膝(14.7%)、足首足部(10.4%)

trainingグループでは92.6%が下肢の傷害で、大腿(32.1%)、足首(20.3%)、股関節(16.1%)、膝(11.8%)

 

7.ポジション別怪我の発生率

pretraining:

サイドバック(25.8%)

セントラルハーフ(19.0%)

サイドハーフ(17.8%)

センターバック(17.8%)

フォワード(14.7%)

GK(7.8%)

 

training:

サイドバック(16.5%)

セントラルハーフ(23.4%)

サイドハーフ(17.4%)

センターバック(20.1%)

フォワード(14.7%)

GK(7.8%)

 

ってことでまとめ

この研究で得られた結果について、特筆すべきは怪我の発生率がトレーニング時と試合時で各カテゴリ10倍違うことです。「サッカーにおいて最も負荷が高いのは試合である」ということですね。トレーニング時間よりも試合でのプレー時間が短くても、疲労は試合によるもののほうが大きいこともある、と考えの準備をしておくと、休息日のプランニングもよりクリアになっていくと思います。

加えて、非接触型の怪我がどのカテゴリにおいても接触型の怪我よりも多かったことも、注目すべきことです。非接触型の怪我の多くは、それが足関節でも膝関節でもハムストリングでも、疲労の蓄積が根底にあります。(もちろんすべてじゃないよ!)脳からの神経伝達が疲労によって狂わされ、「適切なタイミング」で「適切な強さ」の筋発揮が出来なくなること、がその背景にあります。

疲労が溜まった状態で試合に臨むというのは、どうなるかは推して知るべし、ですね。

つまりなにが言いたいかっていうと、

「疲労を溜めないだけで、怪我って結構減るよ!」

ってことです。

 

受傷部位については、へぇ~そんなカンジか~、てトコです。

僕がFCユトレヒトのユースでトレーナーをしてた頃は、特にU15以下のチームに帯同することが多かったのですが、受傷部位の一位は足関節でした。打撲・捻挫の両方が同じくらいの割合で、次いで膝でしたね。成長痛のテーピングは良く貼ってました。

トップカテゴリの選手に対する傷害調査はちょいちょい見かけるのですが、ユース選手となるとあまりないかな。。。という印象です。ですので、今回の文献はけっこう興味深かったです。

傷害調査の意義の一つに、その怪我の種類やシチュエーションから、そのチーム全体が持つ怪我のリスクについて考えることが出来るということがあります。たとえば非接触の怪我というだけでなく、おそらくこの研究者の手元にはどのような怪我が具体的にどのような受傷機序で発生したかのデータが残っているはずですので、次のシーズンからはそのデータをもとに例えばウォーミングアップやムービングトレーニング、もちろんコンディショニングに役立てることが出来るのだろうなと思います。同じ選手が怪我を繰り返している状況があれば、それも対応案件ですね。

ちょっと手間なのは間違いないのですが一回調べてみると結構役に立つ、それが傷害調査です。

 

そんな感じです。

おしまい。

 

 

Reference:

Epidemiologic study of young soccer player’s injuries in U12 to U20. (2014)

Tourny C, Sangnier S, Cotte T, Langlois R, Coquart J.


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