【まとめ】前十字靭帯再建後のリハビリ【Basic】

2017年5月6日

 

 

 

 

 

 

 

 

photo credit: mynameisharsha Friend In Need via photopin (license)

最近、悲しい別れがありました。

PCも、医学書籍も、ランチボックスも全部すっぽり包んでくれる良いヤツだったのに。

そいつとの別れは突然でした。。。

その日僕は、いつもと同じように仕事に向かうべく、家を出ました。そう、いつもと同じように。

相棒を片方のストラップだけで肩にひっかけ、ドアを閉めたその瞬間。

 

パキン…。

 

乾いた音とともに振り返ると、金具が大破して変わり果てた姿のストラップ。

もう、こいつを肩に掛けてやることはできない。。。

辛い現実が押し寄せてきます。

その現実と向き合うには、仕事が始まるまでの時間はあまりに短すぎました。

悲しみにくれながらそれでも仕事を懸命にこなし、それでもまだ、その傷は癒えずにいますYasuです@yasuhiradeこんにちは。

 

前置きウザいとか言わないで石を投げないでごめんなさい。

 

例え辛くても、前向きに生きましょう。今回は前十字靭帯再建後のリハビリ記事です。

いわゆる従来の手術テクニック(BPTB/HS)を用いた後でのリハビリの手順です。

原型は学生時代に学校から配布されたものだったり、ガイドライン的なヤツを研修中にブラッシュアップしたものです。

ちょこっとまたアレンジしました。

もちろん今後、新しいことが分かっていけばちょっとずつ更新していきます。

あと、新しい手術テクニックでのリハビリも今後アップする予定ですので、そちらもお楽しみに。

では、行ってみましょー。

 

≪Pre Clinical Phase≫

Pre Clinical、つまり手術を受ける前の望ましいコンディションについて。

  • 関節可動域:膝関節においては伸展0度、屈曲120度。膝蓋大腿関節においては左右差無し。
  • 筋力:健側と患側の筋力差(アイソキネティック)が20%以下であること▶実はこれが術後すぐ膝関節伸展を取り戻すために重要だったりします。

そしてセラピストがやっておくべきことについては、

  • 手術及び術後リハの説明
  • 関節可動域の改善
  • 筋力の改善

また、この時期にやっておくべき検査は、

  • Stroke-test
  • 膝関節、大腿膝蓋関節のROM測定
  • VASスコア
  • KOOS
  • 筋力テスト

などなど。

 

≪Phase1≫

Phase1は術後6-8週の間を指します。

この期間の目標は、6~8週以内に膝の腫脹をできる限り軽減させ、膝関節の伸展は0度、大腿四頭筋の随意運動と歩行が正常に可能であること。

 

Function level

可動域

  • 膝蓋骨:4~6週以内に左右差がほぼない状態まで
  • 膝関節伸展:2~4週以内に0度まで
  • 膝関節屈曲:4~6週以内に120~130度まで

※可動域改善のためのモビライゼーションの結果、腫脹や疼痛が増加した際はNSAIDやCryotherapyを用います。

 

筋力

  • 大腿四頭筋:座位での伸展機能の回復
    • ①EMSや徒手でのサポートを利用する
    • ②Active Straight Leg Raiseによって、Isometricな筋力をトレーニングしていく。トレーニング後の膝のリアクションを見ながら、強度を調節していく
    • ③膝関節の可動域0~60度の範囲でレッグプレスやスクワット、ステップアップを行う
    • ④BPTB-Graftの場合: 4週目からOKCで関節可動域90~45度でトレーニングを行う(レッグエクステンションなど)
    • ⑤HS-Graftの場合: 4週目からOKCで関節可動域90~45度でトレーニングを行う(負荷はナシ)
    • ※BPTBでもHSでも、5週目から10度ずつトレーニングでの可動域を広げていく(5週目: 90~30度、6週目: 90~20度)
  • 股関節外転筋群・股関節伸展筋群・下腿三頭筋も並行してトレーニング

 

Activity level

神経筋(Neuromuscular control)

  • 両足で不安定盤に乗ってバランスを取る、などのNeuromuscular controlをトレーニング▶オプションとして、目を閉じる、デュアルタスクなど課題を追加することもあります。
  • 歩行・自転車
    • ▶歩行時は、できるだけ早く松葉杖を外せるように患側に荷重をかけていきます。膝関節の伸展がきちんと起きているか、が第一の注目ポイントです。さらに松葉杖が外れたら、歩行中のTrendelenburg兆候を見逃さないようにします。股関節外転筋群がきちんと歩行中に機能しているか、していなければ、トレーニング内容を見直さなければいけません。
    • ▶自転車はウォーミングアップと可動域改善を目的に行います。最初は膝関節の90度屈曲が出るまでは行うのが難しいですが、90度を超えて曲がるようになればどんどん取り入れていきます。100度くらいが目標です。

 

Bad proces

こうなると「ちょっとおかしいぞ」という兆候・症状を挙げていきます。

  • 傷口が塞がらず、感染の疑いがある▶ドクターへReferal
  • 6~8週過ぎても膝蓋骨のモビリティが改善していない▶ドクターへReferal!Infrapatellar contracture syndromeのリスク有
  • 6~8週過ぎても膝関節の伸展が0度まで行かない▶Artrofibrosisや Cyclopsの疑いアリ▶ドクターへ

※Artrofibrosis(関節繊維症)もCyclops(再建靭帯大腿付着部付近の瘢痕化した繊維組織)も膝関節伸展時のクリック音の原因になったりします

  • 6~8週過ぎても大腿四頭筋の随意運動が改善しない▶ドクターへ

※随意運動というのは、ここではASLR(Active Straight Leg Raise)における大腿四頭筋の収縮がきちんと行われているか、ということ。膝関節伸展後、下肢を挙上した際に下腿が持ち上がるのが大腿に比べて若干遅いとこれ▲に当てはまります。

  • 6~8週過ぎても歩行が改善しない▶大腿四頭筋とハムストリングスの協調性が悪い。歩行訓練の見直しが必要

 

Phase2へのステップアップの条件

  • 傷口の治癒
  • 患側への荷重における疼痛なし
  • 腫脹が最小限
  • 膝蓋骨の正常なモビリティ
  • 膝関節の0度伸展と最低でも120~130度屈曲
  • 大腿四頭筋の正常な随意運動▶松葉杖なしでのダイナミックな歩行ダイナミックってなんやねんという感じですが、、、要は跛行ではなく左右対称にまっすぐ歩けているかということです。
  • Phase1で行ったNeuromuscular control系のトレーニングが正確に行えること

 

≪Phase2≫

目的はスポーツ活動や負荷の高い身体活動が痛み無く行えること▶ざっくりしてますが、まあこんなもんです。

だいたい8~26週目の期間で、以下は内訳の目安です。

  • 8~12週:筋持久力▶スタビリティ・コーディネーション系のトレーニング中心
    • ※回旋系の動きはまだ行わない
  • 12~17週:筋肥大▶最大筋力をUpさせていく
    • ※疲労に注意▶動きの正確性を重視
  • 18~22週:スポーツの動きに近い筋力トレーニング▶動きの正確性を保ったまま、スピードもUp
    • ※疲労が溜まった状態では行わないのが原則
  • 23~26週:Agilityも加えたスポーツのトレーニング

 

Function level

可動域

膝関節・膝蓋大腿関節の可動域がフルで出せること

 

筋力

大腿四頭筋:
  • OKCでのトレーニングの場合:以下の可動域内での運動を行う。
    • 6週目▶90~20度
    • 7週目▶90~10度
    • 8週目▶全可動域
  • CKCでのトレーニングの場合:
    • 8週目から▶0~90度▶スプリットスクワットやシングルレッグスクワットを行う
  • ※HS患者の場合、12週目から少しずつ負荷を足していく。それまでは自重。

股関節外転筋群・股関節伸展筋群・下腿三頭筋も並行してトレーニング

▶トレーニングの反復回数は、筋持久力から筋肥大を目的に少しずつシフトしていく

 

Activity level

神経筋(Neuromuscular control)

Neuromuscular controlをトレーニング▶つまるところ、Co-activationの能力を高めていくことが目的となります。

ただただ力を発揮するだけではなく、必要な分だけ、必要なタイミングで発揮する能力です。

  • StaticからDynamicへ
  • 前後から左右へ
  • 方向を変える、スピードを変える、プライオメトリックなど、バリエーション豊かにいきましょう

 

歩行・自転車

自転車やクロストレーナーなどを使用。

  • 10~12週▶膝の反応を確かめながら、ゆっくりとジョギングを開始します。次に日に膝が腫れ上がるようだと、ペースが速いか、距離が長過ぎだと言えます。

 

スポーツトレーニング

スポーツに関連した動きをトレーニングに取り入れます。

  • Change of Direction▶Agilityといったように、あらかじめ決まっているタイミング、動きから、リアクションの要素を追加

 

Phase3へのステップアップの条件

  • Neuromuscular controlとAgilityが正確に行えること
  • 患側の大腿四頭筋とハムストリングの筋力が健側の80%以上
  • ホップテストのスコアが健側の80%以上

 

Phase3≫

目的はスポーツ活動や身体活動に完全復帰すること

ベターとされている復帰時期は術後9~12か月です。(36~48週)

Function level

可動域

  • 膝関節・膝蓋大腿関節の可動域をフルに出す

 

筋力

  • スポーツで起こり得るシチュエーションを取り入れた筋力トレーニング

 

Activity level

神経筋

  • Neuromuscular controlをトレーニング▶つまるところ、Co-activationの能力を高めていくことが目的となります。ただただ力を発揮するだけではなく、必要な分だけ、必要なタイミングで発揮する能力です。
  • 両側から片側へ
  • スポーツに特化した運動を取り入れる
  • 運動の正確さを重視する

 

歩行・自転車

  • ジョギングのレベルをどんどん引き上げていく
  • スポーツに特化したコンディショニング

 

スポーツ活動

  • Agilityトレーニングをよりスポーツに特化したものにする
  • 選手が所属するトレーニングへの移行をプランニング、実行していく

 

スポーツ復帰の条件

  • スポーツ動作での痛み無し
  • 膝崩れやスポーツ動作に対する怖さが無い
  • ジョギングからスポーツ動作まで、正確に行える
  • 大腿四頭筋・ハムストリングスの筋力が健側の90%以上▶大腿四頭筋は同じが望ましい
  • ホップテストのスコアが健側の90%以上
  • Drop Jump着地時をビデオ撮影して、Knee-inが見られない
  • リハビリが最低9か月行われている(推奨)

 

≪まとめ≫

いわゆる膝蓋腱(BPTB)もしくは膝屈筋腱(HS)を用いた再建術後のリハビリを時系列にまとめてみました。

あくまで流れは一例にすぎず、患者さんによって早いも遅いもあるかと思います。

ただポイントとして、

早期に杖なし荷重歩行ができる▶術後すぐ膝関節0度伸展ができる▶術前のトレーニングをしっかり行っている

ことがリハビリの進捗を割と左右するかと思います。

きれいに歩行ができるところまで行ってしまえば、あとはじっくり積み重ねていくだけです。

もちろん、動作のクオリティを評価することは必要ですが。Knee-inとかね。

この記事もちょっとずつ手を加えていきますので、忘れたころにまた見に来てください。

 

そんな感じデス。おしまい。

 

Reference:

KNGF Evidence Statement: Revalidatie na voorste-kruisbandreconstructie (2014)

N. van Melick, W. Hullegie, F. Brooijmans, E. Hendriks, C. Neeter, T. van Tienen en R. van Cingel


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