【なんか膝が痛い】PFPS(膝蓋大腿疼痛症候群)のリハビリ【膝の痛みにもいろいろ】

Knee pain

photo credit: osseous April 29, 2015 via photopin (license)

 

こないだ引っ越ししたばかりですが、職場の関係でもう次の引っ越し先を探しています。

今の家に移り住んで3か月、全く箱を開けていない段ボールもあり、いかに無駄なものを持っているか身に染みてわかりました。

もっと持ち物を減らせば、もうちょい狭い部屋に住めるなと貧乏根性丸出しですYasu@yasuhiradeですこんにちは。

本日は膝の痛みに対するリハビリテーションについて解説していきます。

 

【なぜか膝が痛い理由】

なんか知らないけど、特に怪我をした記憶もないのに膝が痛い、というときはひょっとしたらPFPSかもしれません。

膝、特に膝蓋骨(膝のお皿)周辺の痛みの総称としてPFPS(=PatelloFemoral Pain Syndrome膝蓋大腿疼痛症候群)という言い方をします。

専門家によって少しずつ文献における定義が異なるのですが、今回はこちらで話を進めていきます。

PFPS can be defined as anterior knee pain involving the patella and retinaculum that excludes other intraarticular and peri-patellar pathology.

PFPFとは、膝蓋骨と大腿膝蓋関節の支帯に関連した膝前面の痛みで、関節内や膝蓋骨周囲の病変を除く

Management of Patellofemoral Pain Syndrome – American Family Physician

 

ちなみにセラピストとして僕がこの用語を使うときは、①他に当てはまる疾患が見当たらない、②膝蓋骨の動きに異常がある場合ですね。

この時の検査では、膝蓋骨のモビリティ、J-Sign(膝伸展時に膝蓋骨が外側へ動く)やPatellar glide、Patellar tiltなどを用います。もちろん、膝蓋骨のモビリティ異常がそれほど顕著でない場合もあります。

そもそも痛みの原因は、膝蓋大腿関節における膝蓋骨に対する圧力増加だと考えられています。膝蓋骨は膝蓋腱に覆われた形で膝に存在しています。圧力が高くなると、この膝蓋骨が大腿骨に強く押し付けられてしまう、ということなんですね。

patellofemoral

(引用:http://www.aafp.org/afp/2007/0115/p194.html)

 

その膝蓋骨がなぜ動きが悪くなるのかというと、股関節の内旋・内転・膝関節の外反といったバイオメカニクス的な要素、および股関節外旋・外転、大腿四頭筋におけるMuscular disfunctionに原因があるとされています。股関節の内旋・内転・膝関節の外反によって動的アライメントにおけるKnee-inが大きくなりますが、この動的なQ-angleが大きいと大腿四頭筋(直筋)の張力が高くなり、膝蓋骨への圧力増加、および膝蓋骨の動きの異常につながると考えられます。

つまり、がっつり運動器系の問題だと考えられています。器質的な異常ではなく、機能的な異常であれば、まさに運動療法の守備範囲です。とっかかりが見えてきましたね。

 

【Motor Controlの改善】

ではそのとっかかりが見えてきたので、リハビリについて考えていきましょう。

まず大前提として、リハビリの進捗は痛みの有無に左右されます。肉離れやアキレス腱断裂のように、明確な組織の損傷はありません。それはつまり、はっきりとした治癒期間が見極められない、ということです。痛みはMuscular Disfunctionが原因、つまり運動パターンが膝に与える運動負荷と、膝蓋骨周辺の負荷に対する抵抗力のバランスを見極めていかないといけない、ということです。

痛みがあるとそれはすなわち、運動負荷のほうが高い状態である、と言えます。負荷と抵抗力のバランスが早い段階で取れれば、数週間で痛みは消えることもあります。基本的にMotor Controlのアジャスト、つまり運動療法による筋肉や身体の使い方の改善は理論上6~8週かかります。新しい運動、トレーニング、身体の使い方がその身体に定着するまで、すくなくとも6週は見ておきたい、ということです。

手前みそですが、詳しくはこちらの記事をどうぞ!

筋トレによって筋肉が太くなるのは、結構あとの話。最初のレベルアップは筋肉の使い方 | フットボールノコトバ。

 

それ以外にも身体のMobility、すなわち可動性に問題があった場合、そもそもすぐにはトレーニングに移れないこともありますので、さらに時間がかかることが予想されます。筋肉や関節にアプローチしなければいけません。

このように、一口にPFPSといっても個々人によって治癒にかかる時間は様々(もちろん、他の疾患でもそうなんですけどね!)なのです。

前置きが長くなりましたが、どうアプローチしていくのかを見ていきましょう。

 

Phase 1

Phase1では、先ほども触れたように関節や筋肉の動きを改善していきます。これもどんな疾患にも言えることなのですが、まずは可動域、動きの幅を戻さない事には運動療法の効果も半減してしまいます。

  • ストレッチ・リリーステクニックでハムストリング、大腿四頭筋、下腿三頭筋、腸脛靭帯にアプローチ
  • 関節モビライゼーションで股関節、膝関節、足関節そして膝蓋大腿関節にアプローチ
  • トレーニングで股関節外旋・外転筋群にアプローチ ⇒ この筋群の機能向上が疼痛減少に効果的です。
  • トレーニングで大腿四頭筋にアプローチ ⇒ VMO(内側広筋)への単独アプローチよりも単純に大腿四頭筋をトレーニングしたほうが効果が高いです。VMOの機能低下が膝蓋骨の動きが悪くなる原因の一つだと言及されている研究もあるのですが、アプローチそのものは個別にする必要はありません。
  • ちなみにトレーニングはOKCでもCKCでも同様に有効だということです。ということはあとは痛み次第でチョイスですね。
  • 膝蓋骨にテーピング・・・はエビデンスも少ないですが、効く人には効くので、やってみる価値はあるでしょう。
  • 体幹のスタビリティ・・・もそれがPFPSの明確な原因とはなっていませんが、膝関節の機能を効率よく使うためには体幹をトレーニングすることはプラスになると考えられます。ただし、あくまで補助的なトレーニングです。

このPhase1では出来るだけ膝への負担を減らし、股関節外旋・外転筋群と大腿四頭筋のトレーニングを行うことがポイントです。ちなみに回数は、15~20回を3セット。これが筋力トレーニングの初期段階、筋持久力向上のための明確なパラメーターになります。前にMotor Controlのトレーニングと書きましたが、スポーツ復帰を目指す場合、結局最終的には膝蓋骨周辺に負荷の少ない運動方法を高い出力で常時使えるようにしていきたいわけで(1,2回の運動で疲れていては大問題なので)そうなると最初の目的としては適切なMotor Controlにおける、筋持久力の向上となるわけです。この二つは同時並行で進めていくことができます。

ちなみにPhase2へ移行する条件は次の3つです。

  • ADLにおいて痛みが無い
  • 筋や関節のモビリティが健側(健康な方の脚)と差が無い
  • 問題なくPhase1のトレーニングを行える

 

Phase2

Phase2は特に股関節外旋・外転筋群及び大腿四頭筋にフォーカスして、よりファンクショナルなトレーニングを行っていきます。ファンクショナルってなんやねん、と思うかもしれませんが、シンプルに考えて目標とする動きに近いトレーニングということです。簡単な例として、スポーツ復帰を目的とするなら座った状態のトレーニングより、立った状態のトレーニングのほうがよりファンクショナルだということです。これはゴールから逆算しなければいけない部分です。

立って行うトレーニングでは特に、膝の動きに注意です。動的アライメントというやつです。股関節の内旋・内転・膝関節の外反が膝蓋骨の動きに悪影響を与える、という話を思い出してください。いわゆるKnee-in, Toe-outの動きは絶対に出してはいけません。いずれも体幹と膝関節の動きのコーディネーションに気を配らなければいけません。

回数は15~20回を3セットと、Phase1と同様ですが、痛み無く完璧に行えた場合はセット数を増やしてもいいかもしれません。僕ならPhase3に移行させます。

ということでPhase3へと移行する条件は次の通りです

Phase2のトレーニングが、完璧に痛み無く行えること

シンプルですね!わかりやすい!

 

Phase3

いよいよ最終段階です。実はこの部分がセラピスト間でもほとんどコンセンサスが取られておらず、非常に難しく頭が痛くなる各々の腕の見せ所となります。Art of Therapistですね!とはいえ僕から言えることは、できるだけ客観的な指標をもってステップアップしていきましょう、ということです。特別高価な器具は必要ありません。ランニングであれば時間と距離とVASを用いた疲労感で進捗をチェックできます。ウエイトトレーニングも同様に数値化できます。コンディションをチェックしたければトレーニング後の心拍数だって使えます。なんとなくではなく出来るだけ明確な根拠をもってレベルアップしていきましょう。

Phase3では軽いジョギングからはじめ、チューブなどを使ってより負荷の高いトレーニングを入れていきます。Phase1から継続してきた股関節外旋・外転筋群にフォーカスした、片脚で行うトレーニングが中心になり、ランニング時の膝の動きをチェックすることも大事です。片脚でも十分にフォームが乱れることなく、ランニングも問題なくできるようになれば次はスプリントやスポーツ特有の動き、フィールドトレーニングといったように段階的にステップアップしていきましょう。復帰に向けてコンディションを上げていくのも、このPhase3の大事な目的です。

 

≪まとめ≫

PFPS(膝蓋大腿疼痛症候群)についてリハビリの流れをまとめました。

基本的に押さえていただきたいのは、股関節外旋・外転筋群と大腿四頭筋へのアプローチ、それによって膝関節の動的アライメントが改善されたかどうか、という部分です。ちなみに、膝関節のアライメントは前十字靭帯や半月板といった膝の外傷のリスクとしても非常に重要視されています。すでにパフォーマンスが上手くいっている選手に対してはわざわざアプローチすべきだとは言いませんが、今回のように痛みが出た選手に対してはきっちり治してあげたいところです。

膝の痛みを訴える選手や患者さんに対して、様々な検査を行っても特に原因が見当たらない場合、今回のPFPSである可能性も一度検討してみてはいかがでしょう?

 

Yasu

 

 

【おすすめ書籍】

 

Reference:

Management of Patellofemoral Pain Syndrome[EN]

(http://www.aafp.org/afp/2007/0115/p194.html)

Behandelprotocol voor het patellofemoraal pijnsyndroom[NL]

(http://www.medicort.nl/images/content/files/Behandelprotocol%20voor%20het%20patellofemoraal%20pijnsyndroom%20-%20Gereke%202014(1).pdf)


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