安定した動作を可能にする、スタビリティとは?

バランスボール

皆さんはスタビリティという言葉をご存じですか?

【コア・スタビリティ】だったら、聞いたことのある人はいるのではないでしょうか?インテルの長友選手のコア・スタビリティトレーニングなどが話題になりましたよね。

身体においてスタビリティは、Stability=安定性 という訳どおり、身体の安定性を指して使われます。ここオランダの理学療法でも、このスタビリティの改善のために運動療法が用いられます。

リハビリの世界でのスタビリティ

理学療法のリハビリの世界でもスタビリティという言葉は良く使われますが、その定義とは、

【両骨端を正しい位置に維持し、それによって姿勢を維持し、動作を可能にする力】

とされています。両骨端とは骨と骨、つまり関節を指します。膝や足首はもちろん、体幹を構成する脊椎にも椎間関節という関節が存在します。

スタビリティは前、このブログでもご紹介した”Grondmotorisch eigenschappen”の一つで、リハビリのための6つのアプローチポイントの一つでしたね。

 

リハビリにおける6つのアプローチポイント| フットボールノコトバ。

 

 

 

 

 

実際にリハビリする際には順序があるのですが、ざっくり言うと柔軟性(可動性)→安定性→筋持久力→筋力・スピード・持久力→コーディネーションという流れになります。

もちろんそれぞれを行うタイミングが明確に分かれているわけではなく、互いに時期が重なりあっています。安定性(スタビリティ)をトレーニングするタイミングは、かなり最初の段階になります。もちろん例外もありますが、基本的にはこの流れに沿って運動療法を行っていきます。

安定性を構成する要素

関節の安定性を構成するのは次の3つの要素からになります。

  1. 受動的システム
  2. 能動的システム
  3. 神経的システム

それぞれさらに関連する組織は異なり、

  1. 受動的システム:関節包、靭帯、骨
  2. 能動的システム:筋
  3. 神経的システム:関節内の固有感覚受容器、神経、脊髄、脳

となっています。

つまり、一口に【スタビリティ】と言ってもそれは、単一の組織の働きによるものではなく、関節を構成する組織の連携プレーであるということが言えます。

先日の記事にも書きました、アーセナルのウォルコット選手の怪我は、まさに膝関節のスタビリティが疲労によって機能しなくなったために起こったということですね。

 

ACL損傷と疲労の関係 ~ウォルコットの怪我に対するコンディショニングの専門家の見解~| フットボールノコトバ。

どうやって鍛えるのか?

スタビリティを改善するための運動療法にもきちんとしたメソッドがあります。運動療法、というくらいですから、まずは筋にアプローチします。

 

① ベースラインの設定

まずはベースラインと呼ばれる、現状のスタビリティを把握する手順を踏みます。関節を保持する動作を3-40秒キープ、もしくは3-40回繰り返します(目的が静的なスタビリティか、動的なスタビリティかで方法は異なります)。ここで、一回目の代償運動が出た際に、きちんと指導を入れ動きや姿勢を修正し、二回目の代償が出た時の秒・回数でストップします。これが現状のスタビリティを指す値、ベースラインになります。

 

②トレーニング回数とレスト

トレーニングは、そのベースラインの秒・回数を繰り返すことになります。それを4-6セット行い、トレーニング間のレストは10-30秒が最適とされています。

 

③レベルアップのタイミング

設定したベースラインを4-6セット問題なく行えるようになったら、もう一度新たにベースラインを設定し直します。その段階で最大の秒・回数が40に達したとき、運動そのものの難易度を上げます。極端な例で言うと、片足静止から片足着地へとより動的な動きへレベルアップさせます。

 

トレーニングすることのできる安定性

上記にトレーニングメソッドを述べたように、スタビリティはトレーニングによって鍛えることができます。怪我によって受動的なシステムが損傷し関節が不安定になったとしても、筋という能動的なシステムをきちんと鍛えれば、また関節は安定性を取り戻します。一方で、その場合の関節の安定性は筋の働きに委ねられていると言っても過言ではありません。その筋のコンディションを左右する「疲労」というものには、もっともっと注意していくべきだと思います。選手や患者さんの既往なども、頭に入れておかなければならないファクターの一つですよね。

 

まだまだ奥の深いスタビリティ

スタビリティを構成する要素として3番目に「神経的システム」というものを書きましたが、これは言い換えると「コーディネーション」に関連する機能であるともいえます。この部分は非常にオーバーラップしており、明確に区別することが難しい点でもあります。この部分に関しては、今後コーディネーションについて触れる記事で、もう少し突っ込んで書いていきたいと思います。

 

 

Yasu


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